数回にわたりフランスでの軽犯罪、スリやひったくりに遭わない方法をお伝えしています。今回は急増する「ひったくり」についてです。
「お客様の安全のために、公共の場所での携帯電話、携帯オーディオプレーヤーなどの利用には充分ご注意ください」。これは、Métro やRER の駅構内で流れている、スマートフォンなどを狙ったひったくりに注意を促す放送です。スリへの注意喚起と同様、各国語で放送されています。
ひったくられた日本人観光客に遭遇
これまでにどれだけ、Opéra 界隈で携帯電話をひったくられた日本人観光客を警察まで案内したことでしょう。ある時「すみません、日本人ですか?」と泣きそうな顔の女性二人に話しかけられました。
数人の女性に囲まれ…
聞くと「シャルル・ド・ゴール空港からロワッシーバス(Roissy bus シャルル・ド・ゴール空港とパリを直結するバス)に乗り、Opéra で降りた途端に数人の女性に囲まれなにかに署名することを強要され、断った瞬間にスマートフォンを盗まれた」とのこと。それもバスの扉の真ん前で!
パリに到着してバスから降りた第一歩で、スマホをひったくられてしまったのです。まだホテルにチェックインすらしていない状態で僕に助けを求めてきた様子。パリの第一印象が「スマホをひったくられる場所」になるなんて…。なんて悲しいことでしょうか。
警察署で被害届を提出
彼女たちに、まずはホテルに荷物を置くように言い、最寄りの警察署まで一緒に行って被害届をだしました。警察の質問に答えていくだけでできる簡単な手続きです。調書の控えをもらって少し落ち着きを取り戻した様子でしたが、まずは彼女たちに怪我がなかったことが幸いです。
警察官からは「残念だけど、一度盗まれた携帯電話が戻ってくることはほぼありません。できる限りのことはしますが、あまりにも被害が多すぎて手におえない状況です。携帯電話の保険に加入しているならば、そちらで申請するほうがいいでしょう」と言われます。
被害届の控えは必ずもらう
この時にもらう被害届の控えは、日本に帰ってから保険を請求する際に必要になります。必ずもらうようにしましょう。
被害者の多くは日本人
現在パリでは、このように署名を求めて近寄ってきたスリやひったくり事件が多発しています。特に集中しているのがOpéra 界隈、ルーブル美術館~チュイルリー公園界隈。被害者の多くが残念ながら、私たち日本人です。
スリ・ひったくり集団は、日本人が現金を持ち歩くことを知っています。また、注意力が弱いことも熟知しています。たとえ日本の携帯電話であっても、彼らの手にかかればすぐにフランスで使用できるようになり、転売されます。私たちが想像するよりもはるかに組織化された犯罪グループだと言っても、大げさではありません。
周囲の日本人に助けを求める
ひったくりにあった場合はすぐに周りの人に助けを求めましょう。パリやリヨンなどの大都市には、在住日本人がたくさんいます。パリで生活していくうえでの苦労や治安の悪さなどを皆さんよくわかっていますので、有事の場合には必ず協力を求めるようにしましょう。
Opéra界隈で見かける東洋人は多くが日本人か韓国人です。相手が日本人かどうかは日本語で話しかければわかります。なにかあった場合は遠慮せずに助けを求めてください。
次回は、このひったくりグループの特徴をお話しします。
執筆 Daisuke