フランス名物【ガレット・デ・ロワ】、エリゼ宮のしきたり

2023.01.06

フランス名物 ガレット・デ・ロワ エリゼ宮のはどこが違う?2023年1月6日(金)、今日はフランスの新年のお祭りとして知られるキリスト公現祭(エピファニー:Épiphanie)の日。フランスの家庭では「ガレット・デ・ロワ」というパイ菓子を食べます。フランス大統領官邸「エリゼ宮」(Élysée)では、大統領が毎年恒例の祝賀セレモニーを行います。フランス中のパン屋で1月末ごろまで販売されるこのお菓子、地方により様々な違いや特色がありますが、大統領官邸で出されるものには決定的な違いがあるのです。

 

エリゼ宮、パン職人ら数百人とお祝い

マクロン大統領は5日、恒例のエピファニーのお祝いに、パン職人をはじめ業界の関係者数百人を招きました。

今年は伝統的なセレモニーというだけでなく、昨年から続くインフレで小麦粉や卵などの原料、電気料金の大幅な値上がりにより多大な影響を受けているパン、お菓子業界との対話を深める機会になっています。

大統領は冒頭演説で、政府はパン業界を重視し全面的な援助を行っていると述べました。

エリゼ宮でのセレモニーが始まったのは1975年、当時の大統領はジスカール・デスタン(Valéry Giscard d’Estaing)で、その際は巨大なガレット・デ・ロワが作られました。

 

直径1メートル超え、巨大なガレット・デ・ロワ

ちなみに昨年のものは、直径1.2メートル、小麦粉5キロを使用しています。

「ガレット・デ・ロワ」(galette des rois)はフランス語で「王様の菓子」の意で、お菓子の上には紙製の王冠が載せられています。

ちまたで販売され一般家庭で食べられるガレット・デ・ロワは、フランジパン(frangipane)と呼ばれるクレーム・ダマンド(crème d’amandes)のペーストをパイ生地で包んで焼いたシンプルなお菓子で、中にはフェーヴ(fève:ソラマメ)と呼ばれる陶製の小さな人形が1つ入っています。

このパイを1月6日に家族で切り分けて食べますが、フェーヴが当たった人にはその年一年間幸福が訪れると言われており、王冠をかぶり、皆から祝福を受けます。

ちなみに、陶器の人形が「フェーヴ」と呼ばれるのは、元々はパイの中にそら豆が入れられていたからです。

 

王冠もフェーヴもない!!エリゼ宮のガレット・デ・ロワ

ところが、エリゼ宮のガレット・デ・ロワにはフェーヴが入っておらず、王冠もありません。

お菓子の名称も「ガレット・デ・ロワ」ではなく、「平等のガレット」 (galette de l’égalité)または単に「ガレット」と呼ばれています。

マクロン大統領、エリゼ宮のしきたりは「迷信?」

マクロン大統領は昨日の冒頭演説で、「今日のガレットには伝統に、というより共和国の迷信(笑)に従い、フェーヴが入っていません。最初に言っておきますが、エリゼ宮に王様はいませんからね」と、お菓子まで共和国憲法に合わせるエリゼ宮のしきたりを揶揄し、列席者の笑いを誘っていました。

エリゼ宮のガレットについては、毎年メディアの関心が寄せられ話題になります。

2018年、フランスパン屋連盟のドミニク・アンラクト(Dominique Anract)氏は、「1848年以降君主制が完全に廃止され、フランスには王も女王もいないから、エリゼ宮のガレットにはフェーヴが入っていません」とテレビのインタビューに答えています。

2020年にラジオ出演したパン職人ネリー・ジュリアン(Nelly Julien)氏も、「エリゼ宮には大統領しかおらず、大統領は王ではないし、そもそも大統領も単なるタイトルでしかない」と回答しています。

とにかくフランス大統領は、硬いフェーヴに当たっても歯が欠ける心配はありませんね。

執筆:マダム・カトウ

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