コロン内相辞任 止まらない閣僚辞任に苦境のマクロン大統領

2018.10.03

10月1日(月)、ジェラール・コロン(Gérard Collomb)国務および内務大臣(ministre d’État, ministre de l’Intérieur/以後、内相)が、2020年のリヨン(Lyon)市長選に立候補することを理由に辞任を申し出ました。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は一時、辞任を受け入れずに慰留していましたが、昨日になってコロン内相の辞任を受け入れました。この1ヶ月で既に閣僚が2名辞任していて、マクロン政権は窮地に立たされています。(写真はWikipediaより引用)

 

ジェラール・コロン内相略歴

古典文学教授

1947年6月20日、フランス中東部のブルゴーニュ=フランシュ=コンテ(Bourgogne-Franche-Comté)地域圏のシャロン=シュル=ソーヌ(Chalon-sur-Saône)出身で、リヨン大学大学院で文学を研究した後、1970年に古典文学の教授資格を取得し、複数の高校で古典文学を教えます。

政界に進出

1960年代後半から、ローヌ(Rhône)県の社会党(le Parti socialiste)の再建に参加、1977年にリヨン市議会議員に当選します。

1981年、34歳の時にローヌ県第2選挙区から国民議会(Assemblée nationale)議員選挙に出馬し当選、その後1988年まで務めます。

リヨン市長・リヨン都市共同体議会議長を兼任

1999年、前任の元老院議員(sénateur/上院議員)辞職に伴い、ローヌ県の上院議員に選出されます。その2年後の2001年には、リヨンの市長選に立候補し、リヨン市長及びリヨン都市共同体(Le Grand Lyon/リヨン市とその周辺の自治体で構成される都市共同体)議会議長に就任します。
※リヨン都市共同体は2015年に廃止され、メトロポール・ド・リヨン(Métropole de Lyon)に継承されました。

その後、元老院議員とリヨン市長、メトロポール・ド・リヨン議会議長の三足のわらじを務めます。

国務大臣・内務大臣就任

2016年7月から、当時経済大臣(ministre de l’Économie)だったマクロン大統領が立ち上げた「共和国行進!(La République En Marche !)」を支持し、翌年の2017年大統領選挙の際には、社会党議員でありながら、マクロン大統領を公に支持しています。

2017年5月17日、マクロン政権発足に伴い、国務大臣、および内務大臣に就任します。その2ヵ月後、リヨン市長、メトロポール・ド・リヨン議会議長を辞任しました。

 

2020年リヨン市長選立候補を理由に辞任

先月より、コロン内相は2020年のリヨン市長選への立候補を理由に、大臣の職を辞任する考えを示唆していて、コロン内相への批判が高まっていました。1日、コロン内相はマクロン大統領に対して辞任する意思を表明しましたが、マクロン大統領は拒否し、慰留していました。

コロン内相は、マクロン大統領にとって最も忠実な閣僚の一人として知られています。大統領府によると、マクロン大統領は改めてコロン氏への信頼を表明し、引き続き最大限尽力して任務を全うしてほしいと伝えたということです。

しかし、昨日(2日)になってマクロン大統領は辞任を受け入れると発表しました。

 

相次ぐ閣僚の辞任に政権は窮地に

マクロン政権ではこの1ヶ月の間に閣僚が既に2名辞職しています。

8月28日にはニコラ・ユロ(Nicolas Hulot)国務、環境・連帯・移行大臣(Ministre d’État Ministre de la Transition écologique et solidaire)が、そして9月4日にはローラ・フレセル(Laura Flessel)スポーツ大臣(Ministre des Sports)が相次いで辞職しています。

マクロン政権にとって花形の存在だったユロ氏の突然の辞任宣言、そしてフレセル氏の辞任に続き、政権ナンバー2のコロン内相の辞任は、マクロン政権にとって大きな痛手となるだけでなく、政権の不安定さを表す結果となっています。

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大統領は上から目線

マクロン氏は、人の意見に耳を貸さず、常に上から目線だ、という批判が噴出。コロン内相もメディアに対し、このままでは大統領は孤立しかねない、と語っています。

果たして、マクロン大統領はこのまま裸の王様になってしまうのでしょうか。

執筆:Daisuke

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