14日(月)、フランス史上最年少で大統領に就任したエマニュエル・マクロン(Emanuel Macron)共和国大統領が、就任一年を迎えました。
エマニュエル・マクロン大統領 略歴
マクロン大統領は、パリ政治学院(Institut d’Etudes Politiques de Paris、通称Sciences-Po)を卒業後、フランス国立行政学院(École nationale d’administration、ENA)を経て、2004年にフランス財務省の財政監査官として働きます。その後、投資銀行Rothschild & Cieに入行し、入行後2年で副社長にまで昇格します。
2006年に社会党に入党し、フランソワ・オランド(François Hollande)前大統領時代には、大統領府副事務総長としてオランド前大統領の側近を努めます。2014年には、マニュエル・ヴァルス(Manuel Valls)首相の元で、経済・産業・デジタル大臣を努めます。
マクロン法
2014年12月、オランド前大統領の進める経済改革政策を盛り込んだ「経済と成長、および活性化の為の法律案」通称「マクロン法」を提出し、長距離バス路線の規制緩和による自由化や、年間5回と定められていた商店の日曜日の営業を年間12回出来る様にするなど、様々な改革に取り組みました。
En Marche !
2016年4月には、左派でも右派でもない政治を目指し、両方の良い所を結集した政治運動組織「En Marche !(前進!)」を結成しました。
大統領就任
2017年3月に、自身が率いるEn Marche ! の支持を受けて、正式に大統領選の立候補を届け出ました。決選投票の結果、対立候補でFront National(国民戦線)党首のマリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)を大差で下し当選し、第25代フランス共和国大統領、同時にアンドラ公国共同大公に就任しました。
マクロン大統領は、ナポレオン3世が40歳で大統領に就任したのを下回る39歳での大統領就任となり、フランス史上で最も若く大統領に就任しています。
プライベートでは、高校時代の国語(フランス語)教師で24歳年上のブリジット夫人と結婚したことで注目されています。
マクロン大統領の政策
マクロン大統領は就任以来、外交面で一貫して国際協調の路線をとってきました。アメリカのドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が掲げるアメリカ第一主義に意見をするなど、国際的なリーダーとしての存在感をアピールしてきました。
昨日14日(月)には、アメリカが在イスラエル大使館をエルサレムに移転したことを受けて、パレスチナ自治政府のアッバス(Abbas)議長、ヨルダンのアブドラ(Abdullah)国王と電話で会談し、アメリカの一方的な大使館移転は認めないとの立場を示しました。同時に「イスラエル軍による暴力行為を非難する」との声明を発表しました。
フランス国内では、「痛みを伴う改革」を実行し、SNCF(フランス国鉄)の改革や、経済立て直しのための労働規制の緩和などを打ち立てていますが、国民からは反発の声も多く上がっています。
5月におこなわれた「Macron, ça suffit ! (もうたくさんだ、マクロン!)」と声を上げたデモ行進の様子。
世論調査によると、国民の7割はマクロン大統領の進める改革は「富裕層を優遇する為の改革だ」と回答しています。「金持ちばかり優遇され、労働者は人間扱いしていない」との声も上がっています。マクロン大統領の評価は、富裕層と労働者層で大きく分かれているのが現状です。
1年前の就任時には57%だった支持率が、現在では40%まで低下しています。国内から多くの批判を受けながらも、どれだけ改革を実行することができるのか、マクロン大統領の手腕が問われる一年になりそうです。
執筆:Daisuke