LGBTQフランス社会の関わり方とプライド・パレードを知ろう!

2022.06.29

LGBT レインボー2022年1月に話題になったLGBTQの人たちを表すときに使う新代名詞iel(※)。

フランス語辞典ル・ロベールの電子辞書に追加されたことは批判もあり、定着するにはまだ時間が必要かもしれません。しかし、この出来事はフランス社会がLGBTQの人達を取り巻く環境への関わりをまた一歩進めたとみることができるでしょう。今回は、フランスの日常生活を通して感じた関わり方についてレポートします。

 

LGBTQの人達を身近に感じたある出来事

手を繋ぐ「次のクリスマスの集まりの時、うちの子をエミリーじゃなくてザックって呼んであげてくれる?」

事情が呑み込めてない私に、義理の妹は「うちの子、18歳になったら正式に名前と性別を変えると言っているの。」と。

久々に会う親戚の子は現在中学生。同世代である子どもたちに聞いてみると、「もう知ってた。SNSで本人も公表しているよ。」とあっけらかんと言われました。

親戚が集まった日、私は名前を間違えてはいけないというプレッシャーが先立ってしまいました。習慣はすぐには変えられないもので、つい無意識にエミリーと口にしそうになります。

そしてフランス語は、男性、女性詞の区別がはっきりした言語です。ここでも彼女のELLEを使っていいのか彼のILにするべきなのかわからず、宴の中盤の頃にようやく親戚の子に話しかけることができました。

義理の妹夫婦もついELLEと使ってしまい、慌ててILに言い直している場面も…。スムーズに呼びかけることも意識しないと間違えやすいと実感しました。

そして数日後、よく行くパン屋の感じの良い店員さんの名札を何気なくみたら「ザック」と書いてありました。同じ名前です!

LGBTQの人達に関する事柄がだいぶ身近に感じた出来事でした。

 

フランス社会も国民に理解を呼びかけ発信!

フランス社会も国民に多様性への理解について発信しています。

「そう、私の孫はトランスジェンダー」「私のパパはゲイ」などのキャッチフレーズに抱き合う親子のイメージ写真…そして

“Face à l’intolérance, à nous de faire la différence”

「不寛容さに対し、私たちが違いに気付くべき」

つまり多様性への理解をもっと深めようという呼びかけです。このキャンペーンを打ち出したのはフランス公衆衛生局 ( Agence nationale de santé publique ) です。最近だと、フランスのコロナウイルス感染数の統計の発表などで認識されている方が多いでしょう。

2022年5月17日の「国際反ホモファビオの日」にちなんで広告の掲示、サイトでは当事者の家族のインタビューなども拝聴できます。私もいくつか聞いてみましたが、カミングアウトを受けた家族は動揺し、心の葛藤を経て許容という道のりを辿っています。

7分程度の音声なので、フランス語の勉強をしていらっしゃる方は聴いてみてはいかがでしょうか。

Face à l’intolérance, à nous de faire la différence.

 

ハロウィンよりもプライド・パレード!

フランス語では以下の活動を総じてプライド ( pride ) と呼んでいます。

・LGBTQの人達をはじめとする全ての性的マイノリティの人達の権利を認めてもらうため、また自らの存在を讃えるプライドパレード
・プライドパレードの前後に行われるイベントの総称

パリやリヨン、マルセイユなどの大都市以外にも多くの都市で開催され、時期も3月~10月と幅広いです。LGBTQの人に限らず観光客にも人気のイベントで、レインボーのブレスレットが参加した証です。

フランスの若者は社会参加に積極的

フランスでは、小さい子ども達はハロウィンで盛り上がりますが、若者はプライド・パレード!フランスの学生はとても政治に関心を持っています。自分たちが住む社会を良くするために声をあげ、デモなどの行動を起こすのは社会参加の第一歩なのです。

社会に対し「多様な人たちに平等な権利を」というメッセージを、楽しみながら伝えるプライド・パレートに若者は心を動かされるのかもしれません。

プライド・パレードは年々参加者が増え、盛り上がりを見せています。各地の開催日はサイトにアクセスしてチェックしてみてください。

Le site des Pride en France : gaypride.fr

 

まとめ

今回はLGBTQをテーマにしました。男女平等や人種差別など、マイノリティをめぐるテーマはフランス人にとって身近なものです。フランスでは同性婚が認められるなど、少しずつ制度が整ってきています。しかし、生活の中で周囲の理解を得るためには、まだ呼びかけが必要です。各自が多様性に理解を示し、常に意識することが暮らしやすい社会にするための一歩なのではないでしょうか。

YUKO

※ielについては合わせて下記の記事もご覧ください。
フランス語オンライン辞書に人称代名詞iel追加 フランス社会へのインパクトはいかに?

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