献血と聞いて、みなさんはどのようなイメージを持たれるでしょうか? 定期的に献血に参加する知り合いから話を聞いて、私はフランスの献血システムに興味を持ちました。確かにフランスでは、献血開催のお知らせポスターを頻繁に目にします。実際どのようにおこなわれているのか、フランスの献血参加についてレポートします。
フランスで献血に参加できる条件
献血に参加するには事前予約が必要です。献血の運営機関 EFS のサイトから、希望する場所と時間帯を選んで予約します。日本同様、基本的に無償でボランティアでの参加となります。
献血参加の条件は年齢18歳~70歳、体重50キロ以上、良好な健康状態、そして問診があるため、フランス語でのコミュニケーションが可能な人とされています。例えば薬を服用している場合、医師から質問されたときにフランス語で対話しなければいけないからです。
また、服用している薬が献血に支障がない薬かどうか、事前にEFSサイトの表でチェックしなければなりません。薬の種類によっては献血に参加できないケースがあるため、表を読み取るフランス語の理解力も必要になってくるのです。
献血に参加できないケース
過去4カ月以内にピアスやタトゥーをしたり、複数の性的パートナーとの交渉があったり、過去6カ月月以内に妊娠または出産したりという場合は献血には参加できません。他にも条件がありますので、事前にサイトでチェックするか、当日問診で不明点を聞くこともできます。
献血当日のスケジュール
献血当日の流れは、このようになります。
1.受付
身分証明書で本人確認がおこなわれます。
2.健康チェック
問診表に記入し医療スタッフと面談。献血が可能な状態かを確認します。
3.献血
健康チェックでどのタイプの献血になるか決まり、それぞれ所要時間が異なります。例えば全血献血ですと、採血に8分~12分、採血量は 500mlが基本です。
5.休憩と軽食
献血後に食事が提供されます。しばらく休憩した後に帰宅可能です。
予約制ではあるものの各ブースで待つことも多く、トータルで2時間ほど見ておくとよいでしょう。
献血後に提供される軽食にびっくり!
私は18歳の娘に付き添う形で献血に参加しました。献血前に水分を多めに摂るようにペットボトルの水を渡されますが、個人的に驚いたのは、献血後に提供される軽食のボリュームの多さです。予約した時間が夕方の遅い時間だったからかもしれませんが、前菜のサラダ、メインの肉料理、デザートはチョコレートケーキとフルコースが出されました。
パンフレットやサイトで軽食が提供されることは知っていましたが、献血に参加していない付き添いの私にも同じフルコースが出され恐縮しながらフランス料理を頂きました。そして、帰りにはマドレーヌなどの個別包装された焼き菓子も渡され、お腹いっぱいの状態で献血は無事に終了。さすがグルメの国だなと思いました。
和やかな雰囲気の採血時間
注射が大好きという人はあまりいないですよね。多くの人は採血に苦手意識を持っているのではないでしょうか。かくいう私もその1人で、大人になった今でもつい目を逸らせたり、つぶってしまうこともあります。そんな私がフランスの献血に参加して驚いたのは、とても和やかな雰囲気で恐怖心や緊張感をあまり感じなかったことです。
手慣れた看護師さんたちが「今日は、お天気がいいですねぇ」など、にこやかに話しかけながら献血や別の採血の準備を進めるので、会話に集中している間にスタートし、気づいたら献血がほぼ終了ということも!献血は採取量が多いので、プロの和ませテクニックはありがたく感じました。
まとめ
EFSではアプリの導入やネット予約などで、気軽に献血の予約ができるように工夫されています。豊富なストックがあれば、それだけ迅速に血液を必要とする人たちを救うことが可能です。また、集められた血液は治療だけでなく、医療の研究開発などにも役立てられています。献血常連者である知人は、開催のお知らせポスターをチェックしており、できる限り参加をすると言っていました。これも社会貢献の1つの形と言えますね。
執筆 YUKO