留学や仕事の関係でフランスに２カ月以上滞在したときに、対処に困ってしまうのが伸びてくる髪の毛事情です。フランス語でのコミュニケーションに不安があると、美容院に行くのを躊躇される方もいると思います。今回は、日本人がフランスの美容院へ行く前に知っておきたい情報、そしてフランスの美容院事情をレポートします。
フランスで美容院を利用する前に知っておきたいこと３つ
フランスでは個人経営とチェーン展開の美容院と男性客を中心とした理容室があり、さらにサロンを持たない出張美容師もいます。日本と同じようですが違うところもありますので、フランスの美容院を利用する際に知っておきたいことをお知らせします。
１．フランスの美容院の多くは予約制
多くの美容院は予約制が基本で、お店のホームページから申し込むこともできますが確実なのは電話予約です。パリやリヨンなどの大きな都市でしたら、美容系情報サイトtreatwellを使うのがおすすめ。料金や空き状況もわかり予約もできるので、語学に不安がある方でも簡単に使えます。
２．過度な期待は禁物
カット前のヘアカウンセリング、痒いところまで聞いてくれる丁寧なシャンプー、そして雑誌を差し出してくれるなどの、日本では当たり前にあるサービスがフランスの美容院ではほとんどありません。
私個人が思うことを正直に話しますと「素敵な髪形にしてもらって満足！」という言葉を、フランスの美容院に行った日本人の口からあまり聞いたことはありません。例えば「イメージ写真持って行ったのに、全然違う髪形にされたー！」という声がちらほら。
決してフランスの美容師が下手ということではなく、日本のように細かい注文を受けてくれるサービスが浸透していないからだと感じます。また、アジア系の髪質に慣れてないこともあるでしょう。
３．クオリティを重視ならパリの日本人美容師がおすすめ
パリには日本人美容師がいるお店があります。フランス人の美容院に比べ数が少ない希少性と、日本人の髪質に合わせたカット、シャンプー、ヘアカラーなどのきめ細やかなサービスを受けられることから、１回当たりの料金は若干高めです。それでも、美容院に行くのはリフレッシュの１つなので日本語が通じると安心してあれこれお任せできますし、丁寧なカウンセリングも大きなポイントです。
また、日本人美容師のヘアカットはセットが長持ちするように感じます。頻繁に通う必要がないので、トータルするとそれほど割高ではないのかもしれません。
髪以外のサービスも！美容相談ができる美容院
街の美容院を覗いてみると、さまざまな層のお客さんが入れ替わりやってきます。ヘアセット中心のシニアマダム、カラーリングを楽しむ中年女性、そして男性客から学生まで。美容師はお客さんの要望を受け、てきぱきとこなしていきます。お客さんとのコミュニケーションも大切で、フランスの美容師にはおしゃべり好きの人が多く、その街の情報通でもあるようです。
また、髪の毛だけではなく顔全体の美容を視点にしてのアドバイスをしてくれる、ヴィザジスト ( visagiste ) と呼ばれる美容師もいます。語源は、顔を意味するヴィザージュ ( visage ) です。お店の看板に「ヴィザジスト」と明記されていれば、ヘアカットのみならず顔の形や特徴を分析して似合うヘアスタイルやメイクをおすすめしてくれます。フランス人は自分の魅力を引き出すために、プロの意見を積極的に取り入れているのです。
フランス男性のおしゃれポイント！髭の手入れは理容室
フランスにも男性向けの理容室があり、赤、青、白のサインポールが目印です。ヘアカット以外に髭の手入れもしてくれるので、多くの男性客で賑わっています。フランスでは、男性の髭面はセクシーと捉えられる傾向があり、髭の手入れはおしゃれの一環なのです。
スタイリッシュな内装のお店が多く、ウインドウにはこだわりの髭そりセットなどが飾られています。お店によっては「女性のショートヘアの方も受け付けます」と看板に明記されていますが、多くの店は男性客を中心としています。
出張美容師はどのような人が利用している？
ここ数年、フランスではサロンを持たない出張美容サービスが認知されてきました。入院中の方や移動が難しい方には便利なシステムです。私も病院で宣伝のチラシを見つけたことがあります。病院によって受け入れ可能な所と、受け入れない所があるので事前に確認が必要です。
また、子どもが小さくてあまり美容院に行けないという人にもおすすめです。出張美容師を家族利用している友人は、「子どもが小さいし、家まで来てくれて家族のカットをまとめてやってもらえるのでとっても便利」と話していました。
かくいう私も、運良く日本人の出張美容師に出会うことができ、家に来てカットしてもらうようになりました。最初は、髪の毛が家に散らばらないかしら？など心配していたのですが、シャンプーなどのサービスはないものの、家でリラックスした環境で家族も自分のカットも同時にお願いできてとても助かっています。
まとめ
フランスの美容院は、日本人にとって言葉や意思疎通でハードルが高いわりに満足いく結果が得られないこともあると思います。しかし、シンプルなカットや過剰な期待をしなければ、フランス人がどういう会話をしたりどんな話題に興味を持つのかという情報収集ができますので、とても興味深い場所だと私は感じています。フランス語を勉強している方は、一度社会科見学で行ってみるのも楽しいかもしれません。
執筆 YUKO
