Diauskeのフランスこんな小話シリーズ第7弾。今回のお題は「Tu me manques」。僕がこの表現に並々ならぬ魅力とセクシーさを感じている理由をお話しします。
ロマンチックな表現
この言葉、直訳すると「君が私を足りなくさせる」…あれ?なんだかうまく直訳ができません。というのも日本語にはない表現なので、直訳するとよく分からない文章になってしまうのです。
英語にすると「I miss you」、つまり「寂しい」。正確には「君がいなくて寂しい」。どうしてこの「寂しい」に魅力を感じるのでしょうか。僕が寂しがりやだからでしょうか。
それは、日本語の「寂しい」は「私」が主語なのに対して、フランス語の文章は「君」が主語。「君が私を寂しくさせる」という文章になっているからです。
「この寂しい気持ちは君がいないからだ」
「君のせいで僕(私)は寂しいんだ」
なにかこう、とてもロマンチックな雰囲気が漂いませんか? 映画のような、シャンソンのような…。
会いたい気持ちが伝わる言葉
「あなたがいないことが、これほどまでに辛いのだ」ということがよくわかる一言ですよね。「君がいなくて寂しい」とストレートに言うよりも、「君が僕を寂しくさせるんだ」と言うほうが、会いたい気持ちが強くなる気がするのです。
「Je veux te revoir(君にまた会いたい)」、「J’ai hâte de te revoir(君にまた会うのを心待ちにしてる)」という表現よりも、一言「Tu me manques」と言われた時の方が、なぜかずっと会いたいという気持ちが伝わってくるのです。
どんなときに使う?
ちなみに「Tu me manques」はいま目の前にいない人に対して使います。これからお別れをする人の前では「Tu vas me manquer(これから寂しくなるよ)」や「Tu me manques déjà(もう既に寂しい)」という表現を使います。
頻繁に使われる表現です
前回の「僕がSi tu veux が嫌いなワケ」では、「相手に責任を押しつける言葉なんて大嫌いだ!」と怒り狂っていました。ですが今回の「Tu me manques」は、このいい意味での責任の押しつけられ方が、なんとも言えない気持ちを引き出してくれるのです。こういう責任の押しつけられ方なら大歓迎です。
フランス人はこの表現を非常に頻繁に使います。僕がフランスから日本に帰国してからも、友人から「Tu me manques」とメッセージが届きます。今までの僕の人生で、これほどまでに人から「君がいなくて寂しい」と言われたことはあるでしょうか…。
ぜひ使ってみてくださいね
心にぽっかりと空いた穴。あの人がいなくなってポツンと空いた席。あの人の輝くような笑顔。ああ、僕の心には君が足りないんだ…そんな時にはこの一言。
「Tu me manques」
皆さんもぜひ使ってみてくださいね。
執筆 Daisuke