フランスの冬は寒い! 最高気温が0℃を下回る日もあります。そんなある日、街中で知り合いに会ったときのこと。一通りの挨拶が終わったあと、彼女はこう言ったのです。
「Fait pas chaud !」
え?暑くないって…どういうこと?ものすごく寒いのに…。後日、友人に「凍えるほど寒いのにどうして ” fait pas chaud “ という言い方をするの?」と尋ねてみました。しばらく考えたあとに返ってきた答えは 「Parce-que c’est plus élégant」 (だってそのほうがエレガントでしょ?)
フランス人は ‘ne…pas’ が好き
エレガントな表現、つまり丁寧で上品な言いまわしがフランス人は大好きです。直接的ではなく、婉曲的な言いかたをするのがとっても得意。
たとえば子供が何か悪いことをすると親はこう言います。「 C’est pas gentil ( Ce n’est pas gentil ) 」。「だめ」ではなく「よくない」と言うのです。
「テストはどうだった?」と聞けば、「 C’était pas facile ( Ce n’était pas facile ) 」。「難しかった」といえば言えばいいところを「簡単ではなかった」と答えるのです。
思ったことをそのまま単語で表すこともできるのに、わざわざ否定形を使って表現する。フランス人の気質を表しているようで面白いですね。
でもたしかにものすごく寒い日に「寒い寒い!」と言うよりも、「暑くはない」と言うほうが、なんとなく寒さが和らぐように感じます。また「だめ」よりも「よくない」と言われたほうが救われる気がします。婉曲的な言いまわしは、エレガントであると同時に、コミュニケーションを円滑にするための技でもあるのです。
条件法を使ってより上品に
「条件法ってなんだっけ?難しそう…」と思わないでください。フランス語を学んでいれば、誰もが一度は口にする定型文 ” Je voudrais ~ “ (~が欲しい、したい)。この voudrais こそ条件法なのです。
条件法は「もし~」という仮定を表すだけでなく、より丁寧に表現したいときにも使うことができます。
たとえば何か頼みごとをしたいとき” Pouvez-vous ~ ? “ と聞くところを、条件法を使って “Pourriez-vous ~ ? “ と言います。また、お店で「○○はありますか?」と聞きたいとき“Avez-vous ~ ? ” ではなく ” Auriez-vous ~ ? ” と言えば、より丁寧で上品になるわけです。
また人に何か忠告するときも ” Il faut ~ “ よりは ” Il faudrait ~ “のほうが柔らかい口調になります。
条件法を使うことで「無理かもしれませんが、もしできるのなら…」というニュアンスが伝わり、相手からもより丁寧な対応を期待できます。簡単ですのでぜひ使ってみてください。
それでもOui か Non かはハッキリと
「断言的よりも、婉曲的な表現を好む」という点においては、フランス人と日本人、共通するところがあるようです。ただし 最終的に Oui か Non かをはっきりさせるのがフランス人。エレガントなフランス語を使いながらも、自分の意志をはっきり伝えられるよう心がけましょう。
執筆 SAWA