フランスにいると「なぜ?こうなる?」という出来事に出くわすことがあります。フランス人の行動は日本の習慣と異なることも多くて驚くこともありますが、よく考察してみると参考になることも。今回は、フランス人のコミュニケーションを通して見えてくる、人づきあいへの考え方を紹介します。
見知らぬ人とのコミュニケーションを楽しむ
スマホが今のように普及していなかったとき、道でよく「今、何時ですか?」と聞かれました。毎回どぎまぎしながら「11時30分です。」や、自分の腕時計を見せて質問に真剣に答えていました。ここ最近は道を聞かれることが多くなり、地元っ子のような顔をして案内できたときはすこし誇らしい気持ちになります。
また「タバコ1本もらえませんか?」も街で歩いているとよく聞かれるフレーズです。彼らは深く考えずに聞いてくるのでしょうが「見た目どう考えたって外国人の私に聞く?フランス語できるかも怪しいのに」という思いが湧いてきて不思議な気持ちになります。
先日、ふらりと入ったワインバーでのこと。隣の席で飲んでいた見知らぬシニアのマダムに「人生を楽しみなさいよ!」と、何度も話しかけられてびっくり。あまりにも念を押されるので、笑って毎回深くうなずくということがありました。
お店で列に並んでいるときに、急に隣の知らない人と話し出すという光景もよく見かけます。見知らぬ人に話しかけることに慣れていない日本人と違って、知らない人とでもコミュニケーションを楽しむフランス人に感心するばかりです。
一人より二人がいい!カップル文化のフランス
ご近所さんに、数年前にリタイヤした60代のご夫婦がいます。買い物もお散歩も2人で一緒にしている姿を見かけ「なんでこんなに、いつでも一緒に行動できるのかしら?」と感心する私。
「おひとり様、自分はこれで満足。」というフランス人は実は少数派で、多くはパートナーを作って人生の時間を一緒に過ごしたいと思っているようです。
つい最近、70代男性のフランス人の友人と久々に会ったときに「今、彼女がいるんだよ。今度一緒に旅行に行くんだ。」と楽し気に報告してくれました。
数年前の彼は、元妻に新しい彼氏ができたため離婚調停中でかなり真剣にパートナー探しをしていました。会うたびに若者の恋愛相談のように話を聞かされていたので、報告を聞いて私も嬉しくなりました。
シニア世代の人生は分かち合いにあり!
一人で暮らしをしている多くの人はパートナーが近所に住んでいたり、近くに引っ越して食事や散歩を一緒にするという生活を送っているようです。
「子供がいようが孫がいようがかわいいペットがいようが、私の人生にはパートナーが必要!ひとりは寂しいから誰かと時間や楽しみを分かち合いたい。」これはフランス人から何度も聞いたことがあるセリフです。きっと彼らの本心なのでしょう。
趣味やボランティア活動で充実した日々を送っていても、パートナーの存在は特別。ホテルのレストランなどに行くと、デートを楽しむシニアカップルをよく見かけます。恋愛をしたいというより、毎日を一緒に楽しく過ごせる相手がいることが人生で大切と考えているようです。
恋人ができたら親に報告して堂々と交際!
多くのフランス人は初めての彼氏、彼女ができたとき、早い段階で家族に報告するパターンが多いようです。嬉しいことだから公表するのか礼儀なのかはわかりませんが、多くの家庭の子どもが、自分の恋愛について家族に話しているそうです。
親に紹介して公認で堂々と付き合うのがフランス流。今はSNSの発達で遠くに住む人と恋愛関係になることも多く、未成年の場合は親の関わりがどうしても必要になってきます。公認になるとお互いの家を自由に行き来し始めるので、場合によっては相手の家族と顔を合わせてあいさつということも。
フランス人の友人夫婦は「今年の夏は高校1年の息子の彼女が家族と遠くから遊びに来たから、地元の名所を案内したのよ。」とさらりと話してました。最初はびっくりしましたが、何も知らないよりは安心なので堂々と交際宣言!は、いいアイデアと感じました。
まとめ
他人の目線よりも自分がどうありたいか?を大事にするフランス人にとって、コミュニケーションはお互いを理解するためには欠かせないもの。彼らを見ていると、素直に自分の意見を言ってもいいのだ!ということに気づかされます。特に褒め言葉は、遠慮せず相手に伝えることが大切。フランス人はおしゃべり好きで褒め上手な人が多いからか、会話が重くならず軽いテンポで進んでいくのもおもしろいです。フランス語上達の一歩として、気軽にフランス人とおしゃべりしてみるのもおすすめです。
執筆 YUKO