日々の食を大切にするフランス人は、さらに楽しむために工夫をしています。例えばテーブルクロスやナプキンのリネン類などは、お気に入りのものを選んだりなどです。食事の時間をさらに有意義なものにするために、これらのアイテムは欠かせません。美しい暮らしを大切にするフランスで、どのようにリネンが使われているかを紹介します。
フランス家庭ではテーブルクロスが必需品
フランス人の家のダイニングでよく目にするのがテーブルクロスです。テーブルを保護する目的で厚手のビニール製のものがカバーとしてかけられていることがあります。モチーフは花柄、チェック柄、プロヴァンス風のオリーブ柄、無地など種類があり防水加工されているものがほとんど。
お客様が来ておもてなしをするときは、保護用の厚手のクロスを外してテーブルの質感を楽しむ方法と、保護用のクロスの上に別の布製テーブルクロスをかけ食卓を華やかに演出する方法があります。お誕生日会、イースターの集い、クリスマスなど家に人を招く機会が多いフランスでは、テーブルクロスはマストアイテムといえるでしょう。テーブルコーディネートも余裕をもって楽しんでいる印象を受けます。
便利な使い捨てテーブルクロス
しかし、布製のクロスは数を持たないと同じパターンのテーブルコーディネートになりがち。そこで人気なのが、使い捨てのペーパータイプのテーブルクロスです。色のバリエーションが豊富なのでTPOに合わせて選べますし、アイロンがけやワインやソースのシミ抜きの手間もありません。多くのスーパーで取り扱っていることから需要があるのでしょう。
また、家庭によっては食事が終わるごとにテーブルクロスをいったんはずします。これは次の食事に備えてテーブルをリセットする、テーブルのそのものの美しさを楽しむという理由からきているようです。
キャンプ場でもリネンが大活躍
フランスでは多くの人が夏のキャンプを楽しみます。フランス各地にキャンプ場があり、夏休みにファミリーや友達と滞在してリフレッシュしています。キャンプ場にテントを張ったり、バンガローをレンタルしたり、好みに合った過ごし方ができるのも魅力なのでしょう。
キャンプ場の魅力といえば、野外での食事!開放的な気分になれるし、お天気の日はとても気持ちの良いものです。私も何度かキャンプ場でバカンスを過ごしたことがあるのですが、野外でもリネンが大活躍していた光景を見ました。
そのとき私が宿泊していたバンガローのお隣さんは、子供がいる5人家族。当然、野外なので彼らの食事風景が自然と目に入ってきました。私が感心したのは、各自ナプキンリングとナプキンを持参し、食事中に必ずその布ナプキンを手元に置いたり、膝に置いて食事をしていたことです。彼らにとって、食事の際に布ナプキンで口もとをぬぐったりするのは習慣の一部なのでしょう。とてもエレガントに見えたことが、今でも印象に残っています。
レストランのクロスが布から紙になったワケ
日本の飲食店に入るとおしぼりとお水が当たり前についてくるように、フランスの飲食店ではテーブルセットとナプキンが置かれています。多くのレストランは紙のテーブルセットと紙ナプキンを使用しており、使い捨てが基本です。ただ、レストランのランクが上がってくると、布テーブルクロスに布ナプキンがセッティングされています。
ナプキンは布であっても紙であっても、お客様に出す料理の質やサービスはキープしているので心配はいりません。でも今の時代、温かみのある布ナプキンのお店に当たったら、ラッキーと思えるかもしれません。
人手不足がリネン類に影響?
多くのレストランでは、布テーブルクロスと布ナプキンのアイロンがけはスタッフによっておこなわれています。業者に外注ではありません。しかし、フランス料理といえばワインとソースが重要ですから、食事の際にクロスにこぼしてシミや汚れがついてしまうことが多いです。でも、それは仕方がないことでしょう。
とはいえ、きれいに染み抜きして洗って、アイロンをかけるのはなかなか時間と手間がかかる作業です。飲食業界の人手不足もあり、布のリネンでサービスをしていたけれど手が回らず、紙ナプキンに移行しているお店が増えているのもフランスの現状です。
まとめ
食事の時間を大切にするフランス人にとって、テーブルクロスやナプキンは欠かせないアイテムです。私もお店に入ってかわいらしい柄のものを見ると、気持ちがわくわくしてきます。ぜひお気に入りのクロスやテーブルセットを見つけて、楽しい食事時間を演出してみてくださいね。きっと有意義なひとときを過ごせると思います。
執筆 YUKO