フランス料理でソースは大切な役割を果たします。また、素材にスパイスや調味料でアレンジを加え、より料理のおいしさを引き立たせるのもフランス流です。ここでは、フランス家庭ならではのソースやドレッシングの楽しみ方、また、料理に欠かせない人気のスパイスや定番調味料をご紹介します。
フランスの市販ドレッシングの種類が少ないワケ
フランスのカフェやレストランに行くと、大皿いっぱいのサラダを食べている人をよく見かけます。さっぱりしたものを食べたい時や、お腹にずっしりくる肉料理を避けたい時の一品としてサラダは大人気です。
フランスの多くの飲食店ではサラダを提供しています。グリーンサラダの基本は、サラダ、トマト、スライスオニオン、パセリです。ニース風サラダでしたら、ゆで卵、ツナ、オリーブ、クルトンなどをたっぷりトッピング。リヨン風でしたらカリカリに焼いたベーコンが追加、ノルウェー風ならスモークサーモンなど。
それほどサラダが大好きな国ですが、なぜか市販のドレッシングの種類が少ないのです。フランスのスーパーでもサラダドレッシングはさほど種類がありません。クリーム系、ハーブが入ったもの、マスタード風味など、定番だけが置かれています。日本のスーパーやサラダバーのほうがよっぽど種類が多いと感じます。
実際、「日本に行ったときはドレッシングを買ってくる」という、フランス在住の日本人の方の話を何度も耳にしました。私も荷物にならない範囲で、帰国の際はおいしいドレッシングを買って帰ります。
フランスで定番の手作りサラダドレッシング
実はフランス人は家で食べるとき、その場でドレッシングを作るスタイルを好む人が多いのです。市販のドレッシングも利用もしますが、マヨネーズも手作り派の人がいて家に常時ストックされていない家庭もあります。
フランスでサラダの定番ドレッシングといえばビネグレットソースです。マスタード、塩、ビネガー、サラダオイルを混ぜたシンプルな味わい。お店でサラダを注文すると添えられているか、すでにサラダにかかっています。また、オリーブオイルとバルサミコ酢を持って来てくれるお店もあります。
・ビネグレットソースの作り方
サラダボウルの底にマスタードを入れ、スプーンなどで伸ばしたらビネガーと調味料を投入。少し混ぜたらサラダオイルを入れ、クリーム状になるまでスプーンなどで混ぜて完成です。そこにサラダやトマトを入れて軽く混ぜたらサラダの出来上がり!こんなに簡単シンプルにサラダドレッシングが作れます。
フランス人が好む、ソースを楽しむ料理とは?
フランスではサラダ用ドレッシングの種類は少ないですが、スーパーで調味料コーナーをチェックしたり、レストランのメニューを観察したりしてみますと、ステーキとプライドポテトのソースは充実していることがわかります。フランス人は、愛してやまないこの2品には、おいしさを引き立たせるためのソースにこだわりを持っているようです。
レストランのメニューには、お肉料理のソースはガーリックバター、レモンバター、ブルチーズソースなど、どのようなソースで調理されているか明記しているところもあります。付け合わせの定番のフライドポテトにも、このソースたちは相性抜群です。
また、私が行っている人気のケバブ屋さんでは、昼のセットを頼むとフライドポテトのソースの量が多めに入っています。中にはサムライという名のソースも存在しているようで、一体どのような味なのか気になります。
ソースの味をいろいろ楽しめる肉料理「オイルフォンデュ」
ある時フランス人の友人宅で、フォンデュ・ブルギニョン ( Fondue bourguignonne ) という料理を頂く機会がありました。これは、お肉のオイルフォンデュです。熱々オイルが入ったお鍋に、各自が串でさした生肉を入れて加熱し、ソースをつけていただく料理です。
ここで友人が嬉々として出してきたのが4つの小瓶でした。それはお肉に付けるためのソースで、基本はマヨネーズベースでハーブ風味、ケッチャプが配合されたサウザン風などで、好みに合わせてソースを選べるようになっていました。
最初は全てのソースを試していましたが、やがて各自の好みのソースに集中。お肉とソースのハーモニーをたっぷりと楽しみました。
フランス家庭の定番調味料とスパイスはこれ!
フランス人は日頃からハーブに親しんでおり、特に太陽いっぱいの南フランスをイメージできるプロヴァンス風ドライハーブは家庭料理で大活躍。これは細かくされたミックスハーブで、主にタイム、ローズマリー、バジリコ、オレガノが配合されています。
メーカーによっては、エストラゴンも入っています。フランスでエルブ・ド・プロヴァンスといえばこのミックスされたものを指し、鶏肉の丸焼き、ステーキ、お肉料理全般、トマト系スープ、白身魚のホイル焼きなど、さまさまな調味に使われます。多くの家庭で愛用されているスパイスです。
調味料はドレッシングにも使うマスタード、ビネガー、オイル、そしてケチャップの他に、ドライエシャロット、ドライガーリックも料理には欠かせません。サラダドレッシングの風味に加えたり、茹でたインゲンにバターと塩と一緒にあえたりします。塩はブルターニュ産のゲランドの塩とカマルグ産のものが人気です。
お料理好きな家庭では、スパイスをきれいにストックするスパイスケースをキッチンに設置しています。フランスではスパイスが身近な調味料であることが伺えます。
まとめ
私もフランスに来てからハーブのスパイスを料理によく使うようになりました。お料理好きな方が旅行でフランスへ訪れた際は、ぜひ調味料コーナーを覗いてみてくださいね。実際に使ってみるとお料理の幅が広がると思います。
執筆 YUKO