ジャガイモはフランス家庭で頻繁に登場する食材の一つです。品種も豊富で、肉や魚の付け合わせとしてもよく使われます。量は2キロ入り、5キロ入りの大きな袋にグラタン向き、ソテー向きなど明記されている場合が多く、カートに入れて行く買い物客をよく見かけます。今回はフランス人のジャガイモの楽しみ方と簡単レシピ、そしてジャガイモを巡るエピソードなどを紹介します。
パンvsジャガイモ フランスで消費量が多いのは?
フランスの食卓で欠かせないものは、もちろんパンといえるでしょう。しかし消費量の視点からですと、パンよりジャガイモのほうが多く食べられているそうです。1日1人当たり大人は250g~300g、子どもは150gぐらいの消費量だとか。これは、中くらいの大きさのジャガイモ2個~3個分相当になります。
パンは1日120gが平均なので、ジャガイモは主食並みにフランス人の胃袋を支えていると言えますね。かくいう私も、じゃがいもは保存がきくという理由もあり、いっぺんに5キロ買ってしまうこともあります。
定番人気!フランスのジャガイモ料理3品!
ジャガイモはフランス語で地面のりんご、土のりんごという意味の ” pomme de terre ” (ポム ドゥ テール)といいます。これから紹介するジャガイモ料理は、どれも付け合わせなのですがフランス料理には欠かせない定番メニューとなっています。作り方も簡単です!
ジャガイモのピュレ
仏名 Purée de pommes de terre
茹でたジャガイモを潰して滑らかにし、牛乳や生クリームで固さ調整したら塩や胡椒で味を整えて出来上がり。肉料理のソースにも絡みやすく、シンプルですがいくらでも食べられるおいしさです。
歯が生えていない赤ちゃんの離乳食としても親しまれており、その場合は牛乳と生クリームは使用せず茹でたジャガイモをしっかり潰したものが定番です。
ジャガイモのグラタン
仏名 Gratin de pommes de terre
ジャガイモをスライスしてグラタン皿に並べていき、生クリームまたは牛乳、塩、胡椒、そして最後にチーズを上からたっぷりかけてオーブンでじっくり加熱していきます。表面や端においしそうな焦げ目がついたら完成です。ビストロでメインの付け合わせに出てくることも多く、フランス人が大好きな一品です。
以前、フランス人の義母が、週末の大人数の食事会の前日にボウル一杯のジャガイモをテーブルに置き、テレビドラマを見ながら淡々と皮むき作業をしていた姿が記憶に残っています。
振る舞う人数が多いと、皮をむき水にさらしスライスカットする手間も大仕事なのだと感じました。翌日、私はそのグラタンを頂く側でしたが、とてもおいしかったです。
フライドポテト
仏名 Frites または Pommes de terre frites
フランス人が愛してやまないのがフライドポテトです。フランスではフライドポテト用のフライヤーを持っている家庭も多く、専用の四角い網などもスーパーで売られています。こんがりきつね色のフライドポテトは、付け合わせなはずなのにメインの肉を圧倒するぐらいたっぷりと盛るのが定番。
最近、多くの飲食店でこだわりのハンバーガーを出しています。そこに”自家製フライドポテト”と書かれていたり、子ども用メニューの付け合わせもフライドポテトが多かったりで、老若男女が大好きな国民的なジャガイモ料理といえます。ジャガイモをベースにしたフライドポテト系の冷凍食品も多数あって、見ているだけで圧倒されます。
冬の時期、フランス人が好むジャガイモの食べ方
一年を通して入手しやすいジャガイモですが、やはり冬のほうが食卓に上がる回数が多い印象です。バターと塩、またはサワークリームをソースにして味の変化を楽しんでいます。
そして寒くなるとラクレットチーズの季節到来で、パンも重要ですがジャガイモが欠かせません。ふかしたジャガイモにトロッと溶けたラクレットチーズをかけて、生ハムなどを合わせていただくと絶品!
ジャガイモはさっと洗い、圧力鍋で皮つきのままふかすだけなので、手間がかからないのも人気の理由かもしれません。
ジャガイモとフランス人のほくほくエピソード
フランス人とジャガイモは切っても切れない大事な関係性。ということで、私が実際に聞いたジャガイモエピソードをご紹介します。
1話 お金がないときの味方だったジャガイモ
フランス人の会社経営者と話をしたときのことです。「会社を興して利益を出すのに一生懸命だったとき、業績が思うように上がらなかった年はジャガイモばかり食べていたよ。」と言われ、日本人でいうところのモヤシを思い出しました。
野菜の中でも、ジャガイモは1年を通して安定したお手ごろ価格。それに、満腹感も得られボリュームがあるので、食費を抑えたいときには強い味方なのでしょう。
2話 ジャガイモを巡り論争になったカップル
以前、フランス人カップルの家に呼ばれたときのジャガイモトークが興味深かったので紹介します。
妻「困っちゃうのよ、うちのダーリン、この前農家の訪問販売でジャガイモ5キロも買っちゃたのよ!そんなに食べれないから知り合いに配るのに苦労したのよ。」
夫「僕の家では、ジャガイモはよく食卓に出てきたんだよ。だから懐かしくなって、つい買っちゃったんだ。それにおいしいしね。」
妻「ふん!うちは、付け合わせはパスタかお米が多かったわよ。ジャガイモはそんなに出てこなかったわよ!」
妻に押し切られた感はありますが、なんとなくジャガイモは都会から離れた田舎のイメージを持たれ、パスタやお米は文化的な感じで捉えられていると感じる一場面でした。
まとめ
今回はフランス人がいかにジャガイモを食べているか?!に焦点をあててレポートしました。調理法は多岐にわたるので、また機会を見つけてレシピの紹介をしたいと思います。チーズ、バター、生ハムなどジャガイモと相性の良いおいしい食材があることも、ジャガイモ好きになってしまう理由かもしれませんね。
執筆 YUKO