フランスの冬の定番料理

2023.12.29

日本では寒くなってくると、鍋料理が美味しい季節になります。

最近はスーパーマーケットに行くと、いろいろな鍋の素が売っていて、様々な味を気軽に楽しめるようになりました。日本人にとって冬の定番料理として思いつくのは鍋の他に、おでん、湯豆腐、豚汁あたりでしょうか?

フランスにも、冬の定番料理がいろいろあります。日本の鍋のように体の芯から温まるような食べ物がいっぱい。今回は、フランス人が冬になるとよく食べる料理をご紹介したいと思います。

 

ラクレット Raclette

元々はスイス発祥の郷土料理です。

茹でたじゃがいも、シャルキュトリーと呼ばれるハムやサラミ類などの上に、チーズの断面を熱して溶かしたものをかけて食べる料理です。日本でもラクレットを食べられるレストランが増えてきていますので、ご存知の方も多いかもしれません。

フランスでは、一家に一台はあると言っても過言ではないラクレット機を囲み、スライスされたチーズを溶かして、みんなでワイワイと食べます。ラクレットは鍋料理同様、材料を揃えるだけで準備に手間がかからないので、冬に大人数で集まると食べる料理の筆頭格と言えるでしょう。各自チーズを溶かす家庭スタイルが主流となってきていますが、レストランでは大きなチーズを溶かしたものをサーブしてもらうことが多いです。

スーパーマーケットには家庭用ラクレット機に合うサイズにスライスされたチーズが11月ごろから店頭に並び始めます。メーカーのものでなく、より良い品質のチーズをラクレットで楽しみたい場合には、チーズ専門店Fromagerieで「ラクレット用にカットしてください。」と注文すれば、機械に入る大きさにスライスしてくれます。

スキー場でキッチン付きアパートを借りると、ラクレットの機械を貸してくれるほどフランスの冬には欠かせない食べ物となっています。

ラクレットについてはこちらの記事に詳しく書かれていますので、ご興味のある方はぜひご覧ください。
「フランスの郷土料理ラクレットとは?!濃厚チーズを楽しむ冬の逸品!」

 

チーズフォンデュ Fondue Savoyarde

元々はサヴォア地方の郷土料理です。

日本でチーズフォンデュと呼ばれる料理は、フランスではFondue Savoyarde と言います。直訳すれば「サヴォア地方の溶かしたもの」という意味。アルプス山脈の山々に囲まれたサヴォア地方で雪に閉ざされた季節に、家にあるチーズと硬くなってしまったパンを美味しく食べる料理として考案されました。

鍋いっぱいに入ったとろとろのチーズを各自がパンにからめて食べます。

日本では、小さく切った温野菜やソーセージなどをつけて食べることもあるようですが、フランスでは基本的にチーズにつけるのはパンのみとなります。

ただ、チーズとパンだけだと栄養バランスが良くない上、カロリーも高く、また食べ飽きてしまうということもあり、お口直しとしてハムなどのシャルキュトリーやサラダを一緒に食べるのが一般的です。

フォンデュにはトムデュサヴォアTomme de Savoie、ボーフォールBeaufort、コンテComtéといった数種類のチーズを使用します。日本だと入手しにくいものもあるかもしれませんが、本格的なフォンデュにチャレンジしたい方はぜひ試してみてください。フランスのスーパーマーケットには、鍋に入れて溶かすだけのフォンデュ用チーズも売られています。

なお、パンにチーズを絡めて食べますが、その際に鍋の中にパンを落としてしまった場合、Un gage!とみんなに言われ、何か罰ゲームをやらされるのが風習となっています。

 

タルティフレット Tartiflette

タルティフレットも元々はサヴォア地方の郷土料理です。

油とニンニクを熱して香り付けしたフライパンに、スライスしたじゃがいもとベーコン、玉ねぎをよく炒めます。玉ねぎがきつね色になり、じゃがいもが柔らかくなるまでよく炒めたら、それをグラタン皿に入れ、その上にルブロッションチーズReblochonをドーンと乗せて、良い焦げ色がつくまでオーブンで焼くという実にシンプルな料理です。

ルブロッションチーズは円盤のような丸い形のチーズですが、うまく溶けるように、チーズを水平方向にスライスして、トロトロな部分を下側にして乗せることが大切です。そうすることで上はカリカリでありながら、チーズとじゃがいもがうまくとろとろに混ざり合ったグラタンを堪能できます。タルティフレットもお口直しとしてグリーンサラダなどを一緒に食べるのが一般的です。

日本では、なかなかルブロッションチーズを入手しにくいため、カマンベールで代用して作ってみても良いかもしれません。

 

シュークルート Choucroute

シュークルートはドイツ国境に近いアルザス地方の郷土料理ですが、寒い季節になるとフランス全国のお肉屋さんやお惣菜屋さんで必ず見かけます。

シュークルートは本来塩漬けのキャベツのことを指します。ドイツ語でザワークラウトと呼ばれているもので、こちらの名前でご存知な方も多いかと思います。

塩漬けキャベツに豚肉やソーセージ、ゆでたじゃがいもを添えた料理のこともシュークルートと呼び、シュークルートというとキャベツの塩漬けそのものではなく、料理全体を指すことが一般的です。

塩漬けキャベツはキャベツの千切りを粗塩で3週間ほど漬け込んだものです。自分で作るのは大変なため、家庭でシュークルートを食べる際は、お店ですでにできあがったものを買ってくることが多く、ソーセージやゆでたじゃがいも、豚肉などを加えていただきます。

塩漬けキャベツを買ってきたら、あとはソーセージやじゃがいもを茹でるだけで料理の手間が少ないという点から、シュークルートも冬の大人数ディナーの定番料理です。また肉の代わりに魚を使ったシュークルートレシピもあります。

 

ポトフ Pot-au-feu

日本でも知られるポトフは、フランスの冬の伝統料理で、1735年の百科事典にすでに登場している歴史ある料理です。

レシピに細かい決まりはなく、鍋に牛肉、羊肉、豚肉、鶏肉、もしくは魚介類と共に、かぶ、にんじん、セロリ、じゃがいも、長ねぎなどの冬野菜を一緒にコトコトと煮込んだ料理を総称してポトフと呼んでいます。

家庭料理のイメージが強いですが、レストランでもオックステールなどを使ったポトフや、魚介類のポトフなどがメニューには登場します。ポトフは冬の万能料理です。

スーパーマーケットの野菜売り場には、寒い時期になるとポトフ用として、長ねぎ、じゃがいも、にんじんなどが少しずつ入った野菜セットが並んでいます。

 

まとめ

フランスの冬は曇天が多く、太陽をしばらく見ていないという日が続くこともあります。今日ご紹介した料理の他にも、グラタン料理やスープなどを食べて、寒くて暗い冬を楽しく乗り切っています。日本の鍋料理に飽きたら、ぜひフランスの冬の定番料理にチャレンジしてみてくださいね。

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