アフガニスタンより2回目の退避作戦、18日夜パリへ到着

2021.08.19

アフガニスタン フランス 国旗
8月18日(水)、フランスのジャン=イヴ・ル・ドリアン(Jean-Yves Le Drian)外務大臣は、航空機で約200名のフランス人やアフガニスタン人をカブールからパリへ退避させたと発表しました。

イスラム主義組織タリバンによるアフガニスタンの全土制圧を受け、8月16日にはマクロン大統領が緊急会見を開くなど(詳細記事はこちら)、フランス政府は対応に迫られています。

 

2回目の退避作戦

仏ヨーロッパ・外務省によると、8月17日から18日未明にかけて、フランス人など200名を、アフガニスタンの首都カブールからアラブ首長国連邦のアブ・ダビを経由し、パリのシャルル・ド・ゴール空港まで、航空機により退避させました。うち、25名はフランス人、184名はアフガニスタン人、また4名はオランダ人、1名はアイルランド人、2名はケニア人です。

この措置により、カブールのフランス大使館内に避難していた大多数のフランス人とアフガニスタン人を救助でき、現在、大使館はカブールの空港内に移転しました。

これは、41名のフランス人などを救助した8月16日から17日未明の作戦につづく第2回目でした。救助されたのは、フランス外交官や、フランスの軍事や行政の関係者などで、フランス政府はここに「女性や子どもが多く含まれる」と発表しています。

ビザやコロナワクチンの提供

フランス政府は、退避者に対して医療物資の支援や、第三国の国民へのビザ発給などを行なうとしています。

また、コロナウイルスの感染対策措置を退避者にも講じることとして、PCR検査や、10日間の外出自粛を課します。ワクチンを未接種の場合には接種も行います。

アフガニスタン人に対しては、長期的にフランス国内に滞在できるよう、物資や行政面での支援を行います。

マクロン大統領のツイート

マクロン大統領は、シャルル・ド・ゴール空港に着陸した飛行機の写真とともに、「ようこそ」とツイートしました。

 

国内の受け入れ体制はバラバラ

アフガニスタンからの退避者の受け入れは、地域や政治思考によって対応が分かれています。

左派は受け入れに積極的

トゥール(Tours)市の市長ミュンシュ=マセ(Cathy Münsch-Masset)氏は、「自由のために戦ったことで危険にさらされている人の健闘と、分かち合う一つの手段である」として、受け入れに協力的です。とくに、タリバン政権の制圧下で、女性の労働権や教育権を訴えた勇気をもつ女性に対して共感を寄せています。

他には、ラヴァル(Laval)、ストラスブール(Strasbourg)、ナンシー(Nancy)、リヨン(Lyon)、またグルノーブル(Grenoble)やマルセイユ(Marseille)でも、アフガニスタン人の受け入れに積極的な姿勢がみられます。

これらの都市は、左派、またエコロジスト政党の代表の力が強いことが特徴的です。

右派は慎重な姿勢を見せる

一方、右派の政治家で、ヴァンデ(Vendée)県代表の上院議員であるラタイロー(Bruno Retailleau)氏は、「度を越さずに」アフガニスタン人をフランスの援助により帰還させることを望み、(国家の)安定をゆるがす移民の波を避けるため、慎重さを見せる必要を主張しています。

ヨーロッパまた国際レベルでの対応が求められている

フランスでは今年度、すでにアフガニスタン人による8,200件の難民申請があり、アフガニスタン問題はもはやフランス国内のみでは解決できない問題となっています。

仏政府報道官のアタル(Gabriel Attal)氏は、ヨーロッパ規模や世界規模で対応すべきと主張しており、マクロン大統領も16日の会見では、ドイツとの協働のもとで対応することを発表しました。

執筆あお

参照
仏ヨーロッパ・外務省 Afghanistan – Communiqué de Jean-Yves Le Drian (18 août 2021) [2021.08.19]
仏ヨーロッパ・外務省 Afghanistan – Accueil en France des personnes évacuées d’Afghanistan (17 août 2021)[2021.08.19]

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