12月11日(火)のフランス時間20時ごろ、フランス北東部の大都市ストラスブール(Strasbourg)の中心街で銃の乱射事件(fusillade)が発生しました。犯人は特定されているものの未だに逃走中であり、街全体が警戒感に包まれています。
事件発生時の中心街
11日20時ごろ、武装した男性がストラスブール中心街の南部コルボー橋(Pont du Corbeau)からオルフェーヴル通り(Rue des Orfèvres)まで北上したとの目撃情報がありました。このエリアは、マルシェ・ド・ノエル(Marché de Noël)の中心であるクレベール広場(Place de Kleber)にほど近く、飲食店などで賑わっています。
21時ごろには犯人が警察とすれ違い、銃撃戦になりました。事件現場の近くにいた県知事によれば、周辺は銃撃の音と警察や市民の叫び声で騒然としていたといいます。
逃走を続ける犯人
容疑者はストラスブール出身の29歳男性です。過去にフランスやドイツにおいて犯罪事件を起こし、有罪判決を受けた人物であり、過激派ムスリムのブラックリストに載っていることが報じられています。
今年8月には殺人未遂容疑で逮捕され、事件当日の朝に家宅捜索を受けたばかりでした。
被害の状況
フランス時間12日朝3時の時点では、この事件で少なくとも3名が死亡したとストラスブールのあるバ・ラン県(Bas-Rhin)が発表しています。
クレベール広場には警察の厳重な監視のもと、医療従事者が待機している状況です。また、街全体が閉鎖され、12日朝1時まで外出が禁止されました。12日のマルシェ・ド・ノエルは閉鎖され、市内の幼稚園や小学校は休校となっています。
仏政府の対応
11日深夜から12日未明にかけてエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、事件への対応に関する緊急会議を開きました。
そして、クリストフ・カスタネール内務大臣(Christophe Castaner, Ministre de l’Intérieur)は本件を「公共の治安にとり重大な事件だ」と述べ、テロ組織による犯行として検察とともにストラスブールに赴き、事件に関する調査を開始しています。
警戒態勢は最高レベル
政府はまた、国家の警戒態勢を「テロの危険性があり、強化した安全確保を導入するレベル(sécurité renforcée – risque d’attentat)」から「テロによる緊急事態に際した安全確保のレベル(urgence attentat)」に引き上げることを発表しました。安全確保の水準としては最高レベルであり、道路や地下鉄の閉鎖などの措置も含まれます。
政府はこの安全確保体制を、犯人逮捕までの期限付きで導入すると表明しており、国境管理の厳重化や、フランス全土のマルシェ・ド・ノエルの監視を実行する予定です。
ストラスブール市内や近郊にいらっしゃる方は不要な外出を避け、領事館からの情報を随時ご確認ください。
執筆あお