マクロン大統領 黄色いベスト運動の怒りを収める4案を発表 事態収束を図る

2018.12.11
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10日(月)、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、収束する気配を見せない「黄色いベスト運動(La manifestation de Gilets Jaunes)」の怒りを収めるため、「最低賃金の値上げ」「時間外労働、残業への非課税」「全ての従業員への年末のボーナス支給」「年金生活者への一般社会税増税の廃止」の、4つの打開策を発表しました。

 

「年始から尊厳を持って暮らせるフランスを」

マクロン大統領は10日、過激化の一途をたどり収まる気配を見せない黄色いベスト運動後、初めてテレビ演説を行い、現在のフランスが「経済的・社会的緊急事態(L’état d’urgence économique et sociale)」であると発表しました。

その中で、「年始からは、我々は自分たちの仕事に尊厳を持って暮らせるフランスでありたい」と述べ、人々の購買力を高める4つの打開策を発表しました。

最低賃金の値上げ

2019年から、SMIC(全産業一律スライド制最低賃金/Salaire minimum interprofessionnel de croissance)と呼ばれる最低賃金で働く人々の給与を一月あたり、100ユーロ(およそ12,800円/1ユーロ:128円計算)値上げすると発表しました。

この増額される100ユーロのうち、雇用主が負担するのは既に最低賃金の値上げが決まっていた30ユーロのみで、残りの70ユーロは国が負担するため、実質的な最低賃金の引き上げは30ユーロにとどまっています。
マクロン大統領は演説の中で、「雇用主は1ユーロも負担することはない」と述べていますが、30ユーロの増額は既に決定していたため、今回の値上げ決定による雇用主の新たな負担はありません。

国が支払う70ユーロは、今後3年かけて増額されることが決まっていた活動手当(Prime d’ activité)の増額分が当てられます。活動手当とは、就業手当 (Prime pour l’ emploi)と就業者向けの生活保護(RSA d’ activité)を統合したもので、労働収入のある18歳以上の就業者のみが対象で、収入が一定額に達するまで支給される手当のことです。

70ユーロの内訳は、30ユーロが2019年4月増額分、20ユーロが2020年10月増額分、そして残りの20ユーロが2021年10月の増額分です。

時間外労働や残業代の非課税

2019年9月から、時間外労働や残業で得た賃金は社会保障義務負担費用から免除されます。さらに、この賃金は所得税額を割り出す所得からは除外されるため、所得税の減額につながります。

ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)元大統領政権時に制定され、フランソワ・オランド(François Hollande)政権で撤廃されたものが再び制定されることになります。

年末のボーナスの支払い

また、マクロン大統領は全ての雇用主に対して、従業員に年末のボーナスを支払うように呼び掛けています。このボーナスもまた、社会保障義務負担費用から免除され、課税の対象にはなりません。

大統領府は現地メディアに対し、このボーナスは例外的なもので翌年以降は支払れないとし、更に公務員はこのボーナスの対象にはならないと話しています。

低収入の年金生活者の一般社会税の増税の撤廃

2018年1月1日に、6.6パーセントから8.3パーセントに引き上げられた一般社会税(CSG/la Contribution sociale généralisée、別名:社会保障関連諸税)を、月々の収入が2,000ユーロ(およそ256,000円)未満の年金生活者に限り、増税分の撤廃を決定しました。

しかし、この額は一人で生活している人を対象に定められたもので、夫婦で共に年金生活を送っている人に対しては明記されていません。

 

小手先の対応か否か

低所得者層への優遇案を打ち出したかに見える今回の決定ですが、黄色いベスト運動のきっかけとなった燃料税の引き上げは1年間先送りになったものの、根本的な解決にはなっていません。

またマクロン大統領は、「減税を推し進め、歳出を抑えるなど、力強い措置で経済的・社会的緊急事態に対応していくが、180度の転換はしない」と述べ、富裕税を復活させることや改革案の撤回は拒否していることから、低所得者層の理解を得るのは難しいとみられています。

 

サルコジ元大統領が復帰を示唆

一方で、サルコジ元大統領が「(政権)復帰を余儀なくされるかも知れない」と語り、政権へ復帰する考えを示唆しました。

2012年の大統領選挙でオランド前大統領に敗れてからは、政界から距離を置いて家族と過ごす時間を大切にしてきたサルコジ元大統領ですが、2017年の大統領選挙にむけて復帰に意欲を見せ出馬を表明しました。しかし、2016年の共和党(Les Républicains/LR)の候補者を選ぶ予備選挙の第1回投票で3位となり、政界撤退を表明していました。

カーラ・ブルーニ(Carla Bruni)夫人から「私はあなたに思慮深くあってほしい」と、政権復帰をあきらめるよう言われたといいますが、サルコジ元大統領は記者に対し「あなたたちは現在の状況を見たか。私には選択の余地はない。復帰を余儀なくされるかも知れない」と、現在のフランスの混乱した状況に対して、自身が復帰して政権運営の舵取りをする考えを語りました。

はたして、フランスはどのような方向に向かっていくのでしょうか。

執筆:Daisuke

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