大人になっても使っているかも?! 子供のフランス語

2022.01.26

赤ちゃんとお母さん日本語に幼児語があるように、フランス語にも子供の言葉があります。可愛らしかったり、意外と心に残る言葉だったりするので、子供だけではなく大人になっても使っているものもありますよ。

 

赤ちゃんの生活に必要なことば

ミルクを飲む赤ちゃん
dodo:ねんね

dormir(寝る)という動詞から来ていると思われる、寝るという意味の dodoTu fais dodo?(もう寝るよね?)と言うふうに使われます。

lolo:ミルク

lait(牛乳、ミルク)から来ている言葉です。フランスの有名な子守唄で Fais dodo, Colas mon petit frère, Fais dodo, t’auras du lolo.(ねんねしなよ、コラ、僕の弟。ねんねしなよ、ミルクがもらえるよ)というのがあります。

bobo:いたた

痛い場所のことを J’ai bobo ici.(ここがいたいの)のように使います。「いたいよ〜」と甘えている感じです。大けがではない、ちょっとぶつけたりかすり傷のときに使います。

 

これをなくしたら大変 〜doudou〜

doudou:お気に入りのぬいぐるみ

フランスの子供たちは生まれて産院から帰宅したら、とても早い段階で子供部屋で一人で寝かされます。フランスのお母さんたちを見ていてすごいと思うのは、赤ちゃんが少々泣いても、危険がないと判断すればそのまま一人で泣き止むまで見守ることができること。そのためにはもちろん ” Babyphone “ のような遠隔で子供部屋の様子をモニタリングできる機械を使っています。

少し大きくなると、ママに甘える代わりに登場するのが doudou「やわらかい、優しい」という意味の doux から来ている doudou はお気に入りのぬいぐるみのこと。寂しくて一人で泣く夜も、初めての保育園で不安な日も、お母さんが帰ってくるまでベビーシッターと過ごす時も「doudou」を抱きしめて乗り切るフランス人の子供たち。

万が一、doudou がいなくなったら大変。同じ種類のぬいぐるみのスペアを用意している親もいますが、抱きしめられて、涙でぬれて、すり切れた昔からの相棒の doudou は唯一無二なんです。école maternelle(幼稚園)の入り口に「doudou が落ちていました」と誰かが見つけて届けられた doudou をよく見かけました。大人になっても自分の doudou を大切にしている人を見かけたこともあります。子供時代の大切な親友なんです。

nounours:くまちゃん

くまはoursですが、かわいいぬいぐるみのくまちゃんはnounoursと呼ばれます。

nounou:ベビーシッター

nourrice(乳母、保母)から来ている言葉。保育園のお迎えも、公園についてきてくれるのも、いつでも面倒見てくれるのがnounouです。

 

大人も使っている赤ちゃんことば

赤ちゃん扱いするというわけではないのですが、大人同士でもちょっとふざけたり、気にかけている人に優しく話しかける目的で赤ちゃん語をあえて使っているときもあります。例えば、夜帰ってきて、仕事で疲れて元気がない家族の頭をやさしく撫でながら

Chéri, tu es très fatigué ce soir. Mon pauvre. Laisse tout et fais dodo.
(あなたとても疲れているのね。かわいそうに。何もしないでねんねしたら)

と声をかける。もしくは、あまり得意でない家具の組み立てをしぶしぶやっている旦那さんが、奥さんにかまって欲しくて

Aïe! Regarde, j’ai un gros bobo là!
(イタ!見てよ、ここすごく痛いんだから。)

と子供のように甘えるというようなシチュエーションで使われています。

そうそう、大人が使う bobo という言葉がありました。これは「いたい」という意味ではなくて、Bourgeois-bohème(ブルジョワ・ボエーム)の略で、ある社会的生活スタイルをもつ人々のこと。

ヨガ 瞑想

どのような生活スタイルなのか簡単に説明すると、都会に住んでいて金銭的に余裕があり、学歴も高い傾向があり、エコロジストやベジタリアンが多く、自然素材の服などを好んで着るようです。世界全体に興味を持ち、人種差別、男女差別などを嫌う、という特徴もあります。赤ちゃんの毎日には必要な言葉ではありませんよね。

 

まとめ

ご紹介した子供の言葉は同じ音を二回重ねている言葉が多いことに気づきます。きっと言いやすいからではないでしょうか。赤ちゃんに向かってこのような言葉を使うことは正しい言葉を学ぶ機会を奪うという理由から、推奨しないという意見の小児科医も実は多いのです。でも可愛い赤ちゃんを見るとつい「かわいいでちゅね〜」とこちらが赤ちゃん言葉になってしまうのは日本もフランスも同じかもしれません。

執筆 ペレ信子
ブログ:Plaisir de Recevoir 
インスタグラム:@granden25 

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