11月7日(木)、エドゥアール・フィリップ(Edouard Philippe)首相は、2020年より就業など経済的理由でフランスに来る外国人への滞在許可の発給数に上限を設けると発表しました。
会社員、季節労働者、アーティストも対象
発表によると、2020年の夏より、就業目的でフランスに来る「職業移民」への滞在許可の発給数に上限が設けられます。
対象者のほとんどは会社員ですが、季節労働者、アーティストのほか、科学者などの学術研究員も含まれます。
ミュリエル・ペニコ(Muriel Pénicaud)労働大臣(Ministre du Travail)は、人数制限の目的を「フランス人の採用をさらに強化するため」と説明しています。
《職業移民》全体のわずか13%
2018年に《就業目的》で発給された滞在許可数は33,502件で、同年に発給された滞在許可総数255,956件に占める割合は決して多くありません。
そのため、移民排除を政策の柱とする極右政党、国民連合(Rassemblement National:RN)の党首マリーヌ・ルペン(Marine Le Pen)氏は、今回の発表を「政治的詐欺」と呼び、右派共和党(Les Républicains : LR)党首クリスチャン・ジャコブ(Christian Jacob)氏も「見せかけ」と批判するなど、政府の中途半端な移民政策に反発の声が相次いでいます。
目的別フランス滞在許可発給数
1位 家庭の事情 (婚姻、家族呼び寄せ等) 90,074件
2位 留学など就学 83,082件
3位 人道的理由 33981件
4位 就業など経済的理由 33,502件
5位 難民認定 33,330件
6位 その他 15,317件
増加率は《留学》のほうが高い
全体の中での割合が低いとはいえ、就業を理由に発給される滞在許可の数は過去10年で56%も伸びています。それでも、留学生に発給される《就学目的》での滞在許可の伸び率(59%)より3ポイント低い状況です。また、《人道的理由》は同じ期間で120%も伸びています。
フランスへの《職業移民》の出身国、1位はアメリカ
移民の「数のデータ」は毎年発表されていますが、「出身国の統計」になると最新のものでも2015年までしかありません。
それによると、フランスに就業理由で来る人の出身国第一位は、アメリカでした。
2007年~2015年の間に発給された《就業目的》滞在許可の国籍別内訳
1位 アメリカ 2,151件
2位 モロッコ 2,120件
3位 チュニジア 1,282件
4位 マリ 1,108件
5位 インド 1,061件
6位 中国 1,009件
7位 日本 716件
8位 アルジェリア 694件
9位 カナダ 662件
10位 ブラジル 554件
執筆:マダム・カトウ