フランス経済産業財務省(2021年7月筆者撮影)
7月30日(金)、フランスにおける2021年第2・四半期のGDPの成長率は、前年対比で予想を上回る0.9%増となったとフランス国立統計経済研究所(インセ:L’Institut National de la Statistique et des Études Économiques)が発表しました。
【徹底的な企業保護政策】で予想外の伸び ル・メール経済相
インセはこの時期のGDPの成長率を0.7%と予想していました。
経済相ブリュノ・ル・メール(Bruno Le Maire)は、プラス0.9%の予想外の伸びを歓迎すると共に、コロナ禍でフランス政府が取った政策、つまり「企業を守り抜く政策が正しかった事が証明された」とコメントしています。
4〜6月、投資と個人消費が牽引
この時期の投資はプラス1%、個人消費、特にサービス業、ホテル、レストラン、交通などの伸びに後押しされて対前年0.9%の伸びを示しています。
第2・四半期のフランスは第3回目のロックダウン中でしたが、期の半ば5月19日から飲食店のテラス営業が再開され、移動の自由が許可されたことで個人消費が一気に伸びています。
とはいえ、フランス国立統計経済研究所(インセ)によると個人消費需要に関しては「コロナ禍以前と同じレベルには程遠く」、期の前半は「生活必需品」以外の商店が閉店していたことが大きく影響しています。
生産および供給に関しては、第1・四半期のわずか0.1%増に対し2%の伸びを示しています。特にホテル、レストラン業に関しては、1月〜3月の3ヶ月間マイナス14%だった供給が、4月〜6月にはプラス29%に回復しています。
生産の方は、第1・四半期内はマイナス0.2%でしたが、建設業の順調な回復もあり0.6%伸びています。
一方、貿易に関しては輸入の回復の方が早く、輸出を上回る状態が続いている事が、フランスの経済回復の足を引っ張る形になっています。
コロナ禍以前レベルへの仏経済回復、2022年初頭
2020年にマイナス8%となった経済成長率は、2021年通年でプラス約6%とインセは予想しています。これはフランス政府及び欧州委員会の予想とほぼ一致しています。
フランスの中央銀行であるフランス銀行(Banque de France)は、更に緻密にプラス5.75%という数値を弾き出しています。
これらの数字から、ル・メール経財相は「フランス経済のコロナ禍以前レベルへの回復は、2022年の第1・四半期頃になるだろう」との予想を打ち出しています。
ルノーも業績V字回復
ルノーグループの今年第1・四半期の純利益も3億6800万ユーロ(約480億円/1ユーロ=約130円)、2020年通年で80億ユーロ(約1兆429億円)の未曾有の赤字からV字回復しています。
先週金曜に行われた同グループの業績発表によると、、今年の1月〜6月の半期の売り上げが234億ユーロ(3兆500億円)と過去1年間で26.8%の伸びを示し、コロナ禍前2019年の280億ユーロ(3兆6942億円)に近づきつつあります。
営業利益は6億5400万ユーロ(約852億円)、営業利益率は2.8%の好成績となりました。
但し、需要は復活したものの、世界的な半導体不足による供給不足及び利益確保が課題となっています。
執筆:マダム・カトウ