8月30日(日)、南西フランスを走るTGV三本が線路上で緊急停車し、乗客を乗せたまま10時間以上の立ち往生となりました。翌朝疲弊し切って目的地に到着した乗客の中には、怒りとともにクラスターの発生を懸念する声も上がっています。
通過地点で電気系統の故障、3本の列車が停車
TGV8538号はフランス最南西端、スペイン国境付近にある観光地アンダイエ(Hendaye)を30日(日)の昼12時ごろパリに向け出発しました。パリ到着は16時を予定していましたが、電気系統の故障で2回緊急停車しました。夏休みを南西フランスで過ごした乗客は、電車の中に閉じ込められたまま一夜を過ごし、翌日の早朝、ようやく用意された別の列車に経由地ボルドー(Bordeaux)で乗り換え、出発から約13時間遅れでパリに到着しました。
同じくアンダイエを同日の18時に出発し、22時にパリ到着予定だったTGV8546号は、出発地から30キロ先のビアリッツ(Biarritz)で停車しました。ビアリッツ駅では、15時45分発予定だったボルドー経由パリ行きの別のTGVも停車していました。
最終的にこの2つの列車は連結され、翌日445人の乗客を乗せ出発地点のアンダイエに引き返しました。
60キロにわたる修復作業は難航、約1万人が足止め
フランス国鉄のヌーヴェル・アキテーヌ(Nouvelle Aquitaine)地方責任者、ジャン=リュック・ガリー(Jean-Luc Gary)氏は、「欠陥のある列車が通過し、架線(線路上の電線)を破損していった」ことが原因と述べています。ただ、破損箇所が約60キロに渡ることから、修復にはかなりの時間がかかると見ています。
修復終了予定は本日9月1日(火)の昼ごろと発表されていますが、夏休み最終日のUターンラッシュと重なり、足止めを食らった乗客はアンダイエ駅構内で一夜を過ごした約500人を含め、8000人から1万人にのぼります。
修復終了を待つ間、乗客はアンダイエからボルドー駅までバス移動し、そこからパリ行のTGVに乗り換えます。
返金額大幅増もクラスター発生リスク懸念の声
フランス国鉄は列車運賃全額返金に加え、お詫びとして無料乗車券による3倍返し、さらに今回の遅延で発生した宿泊代金や交通費、食費などを返金すると発表しています。とはいえ長時間にわたって数百人の乗客が狭い車内に閉じ込められていたことから、乗客の間では新型コロナの感染リスクが高まり、クラスター発生を危惧する声も上がっています。
執筆:マダム・カトウ