9月5日(木)、パリの不動産価格の平均が9月に一平米あたり1万ユーロ(約118万円)を超えます。パリ及びフランス主要都市では、不動産価格の上昇が続いています。
過去1年間で6.5%上昇、不動産ローン低利息が一因
パリの1平米あたりの不動産価格(新築を除く)の平均は、一平米あたり10,200ユーロ(約120万円)になると発表されました。パリを含むイル=ド=フランスの公証人の発表によると、2018年3月から2019年5月の1年3ヶ月の間にパリ市の不動産価格は、6.5%上昇、過去10年でみると、実に65%近く上昇しています。
この勢いは止まる様子もなく、オンライン不動産エージェントMeilleursagents.comは、今後12ヶ月間でさらに6%上昇すると予想しています。
今年7月の不動産ローンの利息は1.2%前後で止まっており、安い資金調達が高騰の一因を作っています。
不動産バブルではない
パリの不動産価格の高騰が投機過熱によるバブル状態かというと、今のところそうではなさそうです。
そもそも不動産購入希望者が物件数を圧倒的に越えていることが高騰の大きな原因として揚げられます。
パリの不動産業者Century 21の社長、ロラン・ヴィモン(Laurent Vimont)氏は、「パリは世界有数の人気都市で多くの人が住みたいと希望しているものの、新築の余地が少ない」と述べています。
氏によると、不動産投資家による購入は全体の25%を占めているものの、パリ市民も価格高騰により拍車をかけているようです。
つまり、「パリで1件目のアパートを購入した住民が、不動産価格の高騰に目をつけて2件を購入する」ケースが増え、さらに「一部の人は1件目を転売する前に2件目を購入」することで需要が増え、物件不足の加速を促しています。
若い就労者や低所得層を郊外押し出し
パリのアパートはとっくに労働者階級や若い就労者達には手が届かなくなり、こういった低所得層がどんどん郊外に移っているにもかかわらず、パリの不動産物件不足は解消しません。
ちなみに、パリの公証人が発表する統計によると、2018年にパリで不動産を購入した人の85%が管理職や社会的地位の高い層で、労働者階級はわずか5%でした。
世界有数の人気都市パリ、平米15000ユーロまで上昇可能
高騰したパリの不動産価格ですが、世界有数の大都市ニューヨークの1平米当たりの不動産価格は14500ユーロ(約171万円)、ロンドンは13500ユーロ(約159万円)であることから、世界レベルで比較するとまだ値ごろ感があるようです。
不動産マネージメント研究所(l’Institut du management des services immobiliers : IMSI)所長、アンリ・ビュジー=カゾー(Henri Buzy-Cazaux)氏は、現状について「パリの不動産価格は過剰評価されているわけでも、バブルのような投機過熱でもありません」と述べています。
同氏によると、「パリの不動産価格は平米あたり15000ユーロ(約177万円)まで上昇する可能性」があるようです。これはパリが一重に「都市としての人気が高い」ことが理由です。
フランス地方都市にも影響
パリ以外のフランス主要都市でも同じ現象が続いており、過去10年間でボルドー(Bordeaux)61%、リヨン(Lyon)55%、ナント(Nantes)39%、リール(Lille)およびトゥールーズ(Toulouse)34%、レンヌ(Rennes)31%上昇しています。
働き盛りで子育て層の30~44歳の就労者が、割安感のある地方へ移住するケースが増えているためです。
執筆:マダム・カトウ