今週月曜日、5月22日にエッフェル塔によじ登ったカザフスタン出身の男性ですが、その動機について警察は「自殺」であったと発表しました。男性は6時間にわたり塔にしがみついた後、救助隊の指示を受け入れ自殺を断念しています。
素手でエッフェル塔に登り、6時間しがみつく
5月22日の午後、エッフェル塔に男性が素手で登っているとの通報があり、消防隊が駆け付け塔内および周辺の観光客は急遽避難させられました。
男性は素手で登り約6時間の間塔にしがみついていましたが、救助隊員がエッフェル塔の3階からロープを使い下降して接近し、夕方には無事救助されました。
孤独な亡命者が自殺を図る
男性はカザフスタン出身の37歳、フランスで亡命申請後2月に正式な認定を受け、現在イヴリーヌ県(Yvelines)にある低所得者向け住宅に住んでいました。
救助後に男性を保護した警察によると、男性は「フランス語がほとんど解らず、救助に当たった消防の特殊部隊の隊員とは英語で言葉を交わした」が、特に亡命者としての要求などはしていなかったとのことです。
フランスで一人暮らしをしていると見られるこの男性は、翌日の通訳を介した事情聴取で「家族や身内は皆亡くなってしまった」と嘆き、自殺を図ったことがわかりました。
警察は一旦この男性を県警察看護室に収容し、後日専門的な精神病院に送るなどの手配がなされた模様です。
エッフェル塔の観光客2500人が避難
警察はエッフェル塔内に退避命令を出し、約2500人いた塔内の観光客や従業員などを避難させましたが、これは今回のようなケースの場合に取る通常のプロセスです。また、エッフェル塔によじ登った侵入者に降りるよう説得し、アクセス困難な場所での救助を行う特殊部隊が到着した時には、男性はすでにエッフェル塔の最上階である3階(高さ約273メートル)に到達しかけていました。
今回の事件は「文化的建造物への不法侵入」とされパリ検察が調査を開始しました。不法侵入には罰金が課されます。
2017年にも若者が自殺目的で
自殺目的でエッフェル塔に登った人は今回が初めてではありません。2017年にも若者が「飛び降り自殺する」という動機で塔の柱に登った事件が起きています。この時も警察は説得に成功し若者は保護されています。
執筆:マダム・カトウ