5月23日、公証人およびフランス国立統計経済研究所(INSEE)の発表によると、今年の第一四半期(1~3月)の不動産価格は1年間で3%、パリ市内だけで見ると6.4%も上昇しており、この傾向はしばらく続きそうです。
1年で3%上昇、取り扱い件数過去最高の98万5000件
今年の第一四半期のフランスの不動産価格(新築を除く)は、昨年の同時期に比べ3%上昇しています。取引件数は過去12ヶ月間で98万5000件と過去最高記録を更新しました。フランスの不動産価格はここ数年上昇を続けていますが、昨年も前年対比3.8%と大きな伸びを示し、その傾向は今年に入っても続いています。
パリ市内不動産価格、6.4%UPで高騰もバブルではない
昨年の第四四半期ですでに対前年5.7%の上昇を見せたパリ市内の不動産価格は、今年に入っても勢いが衰えず第一四半期で前年比6.4%の上昇となっています。
公証人ティエリー・ドゥルサル(Thierry Delesalle)氏やエロディー・フレモン(Élodie Frémont)氏の見解では、パリでの高騰ぶりは需要増によるもので、いわゆる投機目的によって作られる「バブル」ではありません。よって「バブルがはじける」、言い換えれば「暴落」の心配もないようです。
パリ市内で1平米あたりの価格が最も安いのは20区ですが、1平米8000ユーロ(約98万円)をついに越え、8220ユーロ(約100万7500円)に達しています。なお、最も高いのは6区で平米あたり13,880ユーロ(約170万円)となります。
低金利が主な要因、ブレグジットの影響も
パリ市内で最も価格上昇率が高いのは19区で、過去1年で13.8%の高騰ぶりを見せています。
庶民的な19区とは対照的に、高級物件の多いパリ6区、7区、8区といった地区も上昇率が高くなっていますが、これについてドゥルサル氏は「ブレグジットの影響か、海外に駐在していた富裕層の帰国によりファミリー向け大型アパートなどの需要増が見られる」と語っています。
黄色いベスト運動による悪影響は見られず
一部の不動産業界関係者は、昨年より長引く「黄色いベスト運動」や今年から導入された所得税の源泉徴収による不動産市場への影響を懸念していましたが、今のところ全体的に悪影響はないようです。とはいえ、不動産市場の状況は都市部でも場所によりまちまちで、地方の上昇率は2.6%と若干緩やかになっています。
農村部では数年にわたり不動産価格の低迷が続いており、こういった市町村を抱える地方に影響を与えています。
1ユーロ=122.57円
執筆:マダム・カトウ