コンドームが社会保障で払い戻し対象に HIVや性感染症を防げ

2019.03.05

4日(月)、フランスのコンドームメーカー「ポリディス(Polidis)」社製のコンドーム「ソルテ クヴェール!(Sortez couverts !/自身を守って!)」が、HIV(ヒト免疫不全ウィルス)感染症を含む性感染症を予防するため、社会保障によって払い戻される対象となりました。フランスで社会保障による払い戻し対象のコンドームとしては2例目です。

 

HIVや性感染症の予防が目的

昨年12月、政府はフランス国内における「主要な公衆衛生上の問題(problèmes majeurs de santé publique)」のリストからHIVやクラミジア、梅毒、淋病などの性感染症を除外することを目的に、ポリディス社製のコンドームを社会保障による払い戻しの対象とする決定をしました。

社会保障対象のコンドームとしては2例目

昨年12月10日から、既にマジョレル(Majorelle)研究所製の高級コンドーム「エデン(Eden)」が社会保障の払い戻し対象のコンドーム第一号として認定され、販売されています。

エデンは高級ラテックス製のコンドームで、薬局でのみ購入することができます。12個入りで2.60ユーロ(およそ330円/1ユーロ:126円計算)と、通常のコンドームよりもかなり安く購入することができ、社会保障によって料金の60パーセントが返還されます。

予防対象の性感染症

コンドームによる予防の対象となる性感染症は以下の8つです。

HIV、ヘルペス、ヒトパピローマウィルス感染症、B型肝炎、梅毒、淋病、クラミジア、トリコモナス

高い審査基準

フランス、及びヨーロッパで設けられている高い国際基準を満たしたもので、更に安全性を証明するためのいくつもの試験に合格したコンドームだけが、社会保障での払い戻しの対象として認められます。審査基準は以下の7つです。

サイズ、体積と破裂するまでの耐久圧力、引張時の耐久力、継ぎ目がないこと、潤滑剤の量、包装の方法、完全に密封された包装をしているか

 

社会保障による払い戻しは2024年まで

今回の社会保障によるコンドームの払い戻しは、2024年3月1日までの5年間行われる予定です。

ポリディス社製のコンドーム「ソルテ クヴェール!」は、医者、または助産師の処方箋があれば、払い戻しされます。

増加に転じた新たなHIV患者

近年フランスでは、年間約6,000件に上るHIVの新たな感染者数が報告されていて、新たな患者数は増加に転じています。また、2012年から2016年の間に梅毒やクラミジア、B型肝炎などの性感染症の患者数も3倍に激増しています。

こうした患者数増加の背景には、性感染症検査が簡略化され感染者数が把握しやすくなったことがあげられますが、若者のコンドーム離れが指摘されています。フランスでは避妊にコンドームではなく避妊薬(ピル)を使用することが多く、また同性間の性行為でたびたびコンドームを使用しないことも原因に上げられています。

とりわけ、15歳から25歳の間に梅毒やB型肝炎などに感染した場合、深刻な健康上の問題を引き起こすことが指摘されています。

撲滅を目指せ

政府は、2030年までに主要な公衆衛生上の問題として、新たな性感染症患者をゼロにする目標を掲げています。今回のコンドームの社会保障適用がこれらの問題を解決に導くのか、新たな取り組みに期待が寄せられています。

イギリスではHIV寛解の報告が

一方、イギリスのケンブリッジ大学のラヴィンドラ・グプタ(Ravindra Gupta)教授が、HIV患者における寛解の世界的な例に関する報告を5日(本日)行う、と発表しました。HIV感染からの寛解は世界で2例目で、今回の報告がHIV患者の希望となるのか、世界中から注目が集まっています。

執筆:Daisuke

 

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