ダイムラーがパリの新たなカーシェアリングサービスに名乗り プジョー、ルノーに続き3社目

2019.01.16

15日(火)、ドイツの自動車メーカー、ダイムラー(Daimler AG)がパリで新たなカーシェアリングサービス「Car2Go(カートゥゴー)」を開始したと発表しました。

2018年7月に多額の累積赤字を出してサービスを終了したカーシェアリングサービス「Autolib’(オートリブ)」の後、7月にプジョー(PSA、Peugeot Société Anonyme)が「Free2Moove(フリートゥムーヴ)」を、9月にルノー(Renault S.A.)が「Moov’in.Paris(ムーヴィンパリ)」を発表したのに続き、3社目の参入となります。

 

Autolib’の失敗

Autolib’は、パリ市と周辺市の合計46市(後に104市に増加)が、SAVM(首都オートリブ・ヴェリブ組合/Syndicat Autolib’ et Vélib’ Métropole)を設立して2011年12月にサービスを開始した、電気自動車のシェアリングサービスです。

軌道に乗っていたAutolib’

運輸、エネルギー、ロジスティックの大手、ボロレグループ(Bolloré)に事業を委託し、ボロレとSAVMが共同で、電気自動車、充電設備、駐車場など、およそ2億ユーロ(およそ247億1480万円/1ユーロ:123円計算、2019.01.16現在)の初期投資を行い、利用者数は150万人にのぼり、当初は5600万ユーロ(およそ69億1900万円)の年間収益を上げていました。

多額の赤字によりサービス終了

しかし、ウーバー(Uber)などの新しい自動車配車サービスや、VTC(Voiture avec chauffeur)と呼ばれる運転手付き配車サービスの大頭、ボロレの公共サービスとしての認識の甘さなどが原因で、次第に業績が悪化、およそ2億9000万ユーロ(およそ358億5500万円)の累積赤字を出します。赤字を補填するため、ボロレがSAVMに対して年間4600万ユーロ(およそ56億8700万円)の追加予算を要求したことから、SAVMは契約終了を決定、2018年7月にサービスを終了しました。

契約は2023年までだったことから、ボロレは違約金3億ユーロ(およそ370億9300万円)を要求していて、一方SAVM側は違約金は数千万ユーロ(数十億円)と主張しているため、争いは長期化するものと見られています。

 

新しく参入するルノー、プジョー、ダイムラー

一方で、大手自動車メーカー3社が次々とパリのカーシェアリングサービス参入を表明しています。

プジョー

Autolib’終了後、7月の段階でいち早くカーシェアリングサービス参入を表明したフランス自動車メーカー大手のプジョーは、電気自動車550台による「Free2Moove」を昨年12月3日(月)よりスタートさせました。車の利用は専用のアプリケーションFree2Move Parisを利用します。

料金は1分間0.39ユーロ(およそ48円)、月契約の場合は月々9.9ユーロ(およそ1,220円)で利用することができます。旧Autolib’専用の駐車場を無料で利用することができます。

ルノー

同じく、フランスの自動車メーカー大手のルノーは、昨年10月に先陣を切って電気自動車120台によるカーシェアリングサービス「Moov’in.Paris」を開始しました。

プジョーと同様に、車を利用するには、専用のアプリケーションMoov’in.Paris(App StoreMoov’in.Paris(Google Play)を使い、旧Autolib’専用の駐車場を無料で利用することができます。

料金は、ZOEを利用した場合は1分間0.39ユーロ、Twizyを利用した場合は1分間0.29ユーロ(およそ35円)で、10分以上から利用することができます。

ダイムラー

今回、新たに参入を発表したドイツの自動車メーカー、ダイムラーは、400台の2人乗り用小型自動車、スマートフォーツー(Smart fortwo) を使ったサービス「Car2Go」を展開します。

Car2Goは、2008年にサービスを開始し、世界中におよそ297万人の利用者がいるカーシェアリングサービスのスペシャリストで、大手のサービスがパリのカーシェアリングサービスに参入することに期待が寄せられています。

手続きは全て専用のアプリケーションCar2Go上で行い、料金は利用する場所、時間帯に応じて、1分あたり0.24ユーロ(およそ29円)~0.34ユーロ(およそ42円)で利用することができます。また、法的に定められている駐車場であればどこでも無料で駐車、乗り捨てをすることができます。

Car2Goのオリヴィエ・レッぺール(Olivier Reppert)代表は、「パリは車のシェアリングに適した環境である」と述べました。また、「パリの人々や旅行者に、持続可能で快適で柔軟な移動手段を提供できることを嬉しく思う」とし、今年度中に更にサービスの拡充を図る考えを表明しました。

民間企業参入への期待

Autolib’は最終的に莫大な累積赤字を残してサービスを終了しましたが、Autolib’で整備された充電スタンドを有効活用し、複数の民間企業が参入することで、市場が活発化しサービスの向上を図ることが出来ると期待されています。

パリを訪れる予定の方は、これらのカーシェアリングサービスを利用してみてはいかがでしょうか。

執筆:Daisuke

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