1月15日(火)、INSEE(Institut national de la statistique et des études économiques/フランス国立統計経済研究所)は、2018年にフランスで立ち上げられた企業の数が過去最多レベルであったことを発表しました。
フランスでは2009年から「個人事業主制度(Micro-entrepreneur)」が導入され、以前よりも簡単に企業できるようになりました。この制度が定着したということが、起業家の増加につながった背景にあります。
起業数は昨年より10万社増
INSEEによると、2018年に立ち上げられた企業の数は69万1283社で、これは昨年よりも10万社増加しました。
「個人事業主」が前年比25.5%増、「個人出資企業(entreprises individuelles)」が20%増、「複数名による出資起業(sociétés)」が1.6%増と、すべての企業形態において起業ブームが確認できます。
個人事業主制度とは
個人事業主制度は、インターネット上の簡単な登録によって商業活動を合法的に行うことができる仕組みです。ニコラ・サルコジ(Nicolas Sarkozy)政権の2009年1月に施行されました。
事業によって、食品やデータなどの商品を販売する「販売業」(activités de vente)、代行や作業などの「サービス業」(activités de prestations de services)、コンサルティングや教育などの「自由業」(professions libérales)などのカテゴリに分かれています。
そしてカテゴリごとに営業利益の上限が設けられ、その範囲内での営利活動が認められるという仕組みです。限度の中で利益を得ている場合には、社会保障費や税金の支払いが通常の法人の一部で済むというメリットがあります。
2019年は起業家をさらに応援!
フランス政府は起業を促進するため、今年度も個人事業主にとって活動しやすい環境を整備する意向です。
例えば、起業時に有給インターンシップを行う義務を削減することや、営業利益が1万ユーロ未満の場合には個人口座とは別に独立した会社用の銀行口座をつくる義務を削除するなどの措置が予定されています。
これまでにも、事業のカテゴリによって営業利益の上限額を変えるなど、業務形態に合った活動を促進してきました。
具体的には、仕入れや在庫管理の費用がかかる販売業には高い営業利益を認める(8万2800ユーロから17万ユーロまでなら、社会保障費を減額)一方で、サービス業は営業利益の限度額を低く設定(3万3200ユーロから7万ユーロ)しています。
利益の上限はあっても簡単に起業を宣言できるフランスの個人事業主制度は、起業家としてのステップアップに便利な制度といえますね。
執筆あお