12月19日、世論調査会社IFOPは、2018年フランス国民にとって最も印象に残った出来事は「黄色いベスト」運動と発表しました。
2018年最も印象に残った出来事は、黄色いベスト
IFOP社がフランスの有力紙パリジャン(Le Parisien)の依頼で12月14日~17日の間に行った調査結果で、2018年最も印象に残った出来事は57%の回答者が選んだ「黄色いベスト」運動でした。
2位は今年の3月、カルカッソンヌ近郊で起こった人質事件(人質の身代わりになった憲兵など4名が死亡)および12月11日のストラスブールのクリスマスマーケットでの銃撃事件という二つの大きなテロ事件(41%)でした。
ワールドカップサッカーのフランス優勝はわずか25%
今年の7月、フランス中を熱狂させたサッカーワールドカップフランス優勝は25%で、今年8月にジェノバ市内での高架橋の落下事故(21%)をわずかに超えたのみにとどまっています。
今年の女性はメルケル首相と・・・プリシリア・リュドスキー??
今年最も印象に残った女性は、2021年に任期満了で退任を決めたドイツのメルケル首相ですが、この欧州の大政治家と同点で肩を並べたのが、今年の11月まで無名だった33歳のフランス人女性で「黄色いベスト運動」の火付け役と言われているプリシリア・リュドスキー(Priscillia Ludosky)です。
マクロン政権を揺るがす大きな市民運動に発展した「黄色いベスト運動」ですが、そもそもリュドスキー氏が燃料税に廃止を求めるため署名をインターネット上で集め始めたことが発端となりました。「黄色いベスト」と名づけられたフェイスブックには、11月末の時点で約100万人の署名を集め、その後も1分に1人の割合で増えていきました。現在、この市民運動の代表の1人として政府との交渉に参加するなど注目を浴びています。
3位は、100日後に迫るブレグジット(Brexit)の調整で苦境に立たされ、やはり退任が決まっているイギリスのメイ首相(19%)、ロイヤルウエディングで話題に事欠かないメーガン・マークル妃(14%)、産後復帰のウインブルドンで準優勝したテニスのセリーナ・ウイリアムズ(7%)などが続きます。
男性はキリアン・エムバペがデシャン監督を抜く
男性では、今年のサッカーワールドカップロシア大会で活躍したフランス代表のキリアン・エムバペ(Kylian Mbappé)選手が30%、優勝監督のディディエ・デシャン(Didier Deschamps)氏(26%)を抜いて1位に選ばれました。
3位以降はローマ法王フランソワ(18%)、マクロン大統領(14%)、トランプ大統領(12%)といったいつもの顔ぶれでした。
直近の関心事は、治安維持とテロ対策
フランス人の直近の関心事は「治安維持とテロ対策」が71%で、今年9月の調査時より9ポイントも上昇しています。2位は「健康」(59%、+1ポイント)、3位は「昇給、購買力の上昇」(57%、+3ポイント)、4位以降は「失業対策」(54%)、「教育」(52%、-2ポイント)、「貧困対策」(50%、+7ポイント)となっています。
2019年に期待することは?
2019年にフランス人が最も期待するのは、黄色いベスト運動が訴える「購買力の増加」(59%)です。2位の「イスラム過激派のテロの撲滅」(47%)に大差をつけて1位の座を獲得しました。
また、39%の人が「失業者の大幅な減少」(3位)を期待し、21%の人が「地球温暖化防止への強固な対策」を求めています。
2019年はどんな年になるでしょうか?
執筆:マダム・カトウ
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写真はWIKIPEDIAよりお借りしました。