マリー・ラゲール(Marie Laguerre)さん(22歳)は昨日8月29日、公道で自分を侮辱し殴った容疑者の男を正式に犯人と確認しました。本日パリ軽犯罪裁判所で裁判が行われます。
セクハラ発言に憤慨、言い返したら白昼のパリで殴られ
ラゲールさんは7月24日、パリ19区のカフェの横に立っていたところ、見知らぬ男から通りすがりにわいせつな発言を浴びせられました。「だまってよ」と言い返したところ、男はカフェの灰皿をラゲールさんに向かって投げつけ、さらに引き返してきてラゲールさんの顔面をひっぱたきました。
その一部始終と、あっけにとられた周りの客の様子が、カフェの横に設置された公共ビデオカメラに映っていました。
防犯カメラの映像を自らフェイスブックで拡散、スピーディーな犯人逮捕に
ラゲールさんは、自分が被害に遭っている姿が映っている防犯カメラの映像を入手(自分が公共カメラに写っている映像は誰でも入手可能)し、自らのフェイスブック(Facebook)上に投稿したところ、すぐに反応が出始めました。
早速、男が出入りしていた人材派遣会社の社員がフェイスブックの映像をみて警察に通報を行い、警察はまず容疑者の実家をつきとめました。容疑者の母親の証言によると、息子はラゲールさんを殴った日、母親にも暴力を振るい、その後姿をくらましていました。
容疑者は逮捕歴20回以上の暴力男
逮捕歴が20回以上もあり、うち8回が暴力という25歳の容疑者は、8月3日にもスターバックスの男性店員に暴力をふるって逮捕されたものの釈放されました。翌日16区で車に石を投げつけ精神病院に搬送されましたが、警察が駆けつけたときには病院から出ていました。
その後、警察が容疑者の携帯電話からようやく居場所をつきとめ逮捕に至り、本人もラゲールさんに暴力を振るった容疑を認めました。
女性へのセクハラ発言や暴力、泣き寝入りはもうたくさん
ラガールさんはテレビやラジオのインタビューに答え、「私は女性へのセクハラ発言や根拠のない侮辱に我慢なりません。だから言い返したんです。こういった被害にあっても、大抵は証拠がなく、女性はいつも泣き寝入りしています」と、今回の勇気ある行動について説明しています。
また今回の経験から、公道で侮辱され、泣き寝入りしている女性の証言を集めるプラットフォームを立ち上げました。集めた証言は本人の了解を得て、女性へのハラスメントの現状を訴える、「#NousToutesHarcèlement」(「私たち皆ハラスメント」を受けている)のFacebookページに公開されます。
ラガールさんが立ち上げた、ハラスメントの証言を集めるプラットフォームはこちら
執筆:マダム・カトウ
※画像はこちらよりお借りしました。