9月3日からの新学期を前に、今年から大学に進学する学生たちの最大の悩みはアパート探しです。 フランス全国学生連盟UNEF(Union Nationale des Etudiants de France)は、フランス各地40の学園都市の生活費ランキングを発表しました。
生活費は昨年に比べ1,3%上昇、うち54%がアパート代
フランス学園都市生活費ランキング(高い順)
パリでは生活費の6割強がアパート代
パリの学生の1ヶ月の生活費はだいたい1200EUR(約15万5000円)、そのうちアパート代が800EUR(約10万4000円)を占めます。 学生でなくても、パリがフランスでもっとも生活費の高い都市であることは明らかですが、 学生の生活費に占める家賃の割合は全国平均が54%に対し、パリでは66%がアパート代に消えることになります。
学生は価格重視のため狭くても安い物件を探しますが、そういったタイプの物件は稀少なため、住宅事情の悪いパリでは、本来使用人部屋として作られた(屋根裏などにある)1間のみの狭い部屋(chambre de bonne)ですら奪い合いになっています。
UNEFは生活費の計算にまず家賃を割り出しますが、もっとも安いブレストでは月330EUR(約4万3000円)ですが、パリおよびその近郊都市では700EUR~800EUR(約9万1000円~10万4000円)にも上ります。
交通費では、リール、クレルモン=フェラン、ナント、トゥールーズなどの中規模都市で、もっとも学割定期代の上昇率が高く、金額ではパリ及びイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)が年間345EUR(約4万5000円)で一位、続いてトゥール、レンヌ、リヨン、ディジョンが300EUR以上(約3万9000円)を超えます。
フランスで最も学生の生活費が安い都市は、リモージュ
今年もパリがもっとも生活費の高い都市となりましたが、パリ近郊の都市2位の ナンテールは前年に比べ生活費が4.5倍も上昇、続いてクレテイユ、サン=ドニ、シャン=シュル=マルヌなど、 イル=ド=フランス地域圏の都市が上位を占めています。
パリ近郊に続いてニース、リヨン、エクス=アン=プロヴァンス、ボルドー、マルセイユ、リールといった地方の大都市が上がっています。もっとも生活費が安いのはリモージュで、前年比もわずかながら下がっています。
家賃規制の撤廃が影響
UNEFの代表リラ・ル・バ(Lilâ le Bas)さんは、「毎年狭い物件ほど家賃が上昇しています。その犠牲になるのは学生たちです」と、ラジオFRANCE INFOのインタビューに答え、家賃高騰で打撃を蒙っている学生生活の切実な現状を説明しました。
ル・バさんはまた、「たとえば、昨年はリール市で家賃規制が導入されたため家賃が下がりましたが、政府の家賃規制は違法との裁判所の判決で撤廃され、再び上昇しています。せめて大学のある学園都市とその周辺都市には導入すべきです」と、家賃規制の再導入を呼びかけています。
参考:フランスの賃貸物件の法定最低面積は9平米(これより狭い物件の住居用の賃貸は禁止されています)。ちなみに日本の4畳半は約7.5平米。UNEFのサイトはこちら
執筆:マダム・カトウ