フランス 大規模森林火災 南西フランス中心に22万人避難、なぜここまで拡大

2026.07.28

2026年7月28日(火)、フランス全土で記録的な暑さが断続的に続くこの夏、各地で森林火災が発生しています。22日から南西フランスジロンド県(Gironde)、ボルドー(Bordeaux)市から100キロの海岸沿いで広範囲に広がっており、全国から動員した消防士らによる消火活動が続いています。一部鎮静化していますが、本日より再び40℃近い猛暑の予報のため、警戒が続いています。

同じく大規模森林火災となったランド県ではようやく鎮火し、避難した住民約15,000人が本日より帰宅を開始しています。警察は火災の原因について発表し、また、なぜここまで拡大したのか?その要因について、地元メディアが報道しています。

 

出火原因の80%は人的要因

ジロンド県の出火原因として地元警察は、電力会社エネディス(ENEDIS)社の依頼で行われた、伐採作業によるものであると有力視しています。

今月12日に出火し、フォンテーヌブローの森の10%を消失させた火災は、放火魔によるものでした。他の森林火災もタバコのポイ捨てなどの人的要因が、ほぼ全体を占めています。

 

見渡す限りの松林(人工林)

今回大規模火災が発生した南西フランス海岸沿いに位置するジロンド県、ランド県(Landes)は約100万ヘクターに及ぶ欧州最大の管理森林地域の一つにあたります。

森林の75%をマツ科の針葉樹、フランス語で「パン・マリティム」(pin maritim)と呼ばれる海岸松で占めており、フランスの材木産業にとって重要な貴重な資源となっています。海岸松はこれらの地域の砂地に適し、最大30メートルの高さまで成長します。

多くの他の森林同様、「単一樹種の人工林」として造成される、つまり、同じ樹種の木をほぼ同じ時期に植え、40~50年後に一斉に伐採するという森林管理の方法が用いられています。

この方法は、確かに経済効率は高いものの、実は大きな弱点を抱えています。

経済効率高い「単一樹種林」が、火災に弱いワケ

一旦、森林火災が発生すると、燃え広がるための燃料となる木々がほぼ途切れることなく続いているため、火は勢いを保ったまま広がります。同じ高さ木が等間隔に植えられた人工林では、炎は、途中で火の勢いを弱めるような区画がないことから、次々と燃え移っていくのです。

さらに、この地域の火災が短期間で一気に広がった原因として、松の木が非常に燃えやすいことが挙げられます。

松の木、松脂は天然の可燃物

地元メディアの取材に応じた市民団体「南ジロンドの森林の会」(Forêt vivante Sud-Gironde)によると、松の木の木材の部分が問題なのではなく、木に多く含まれる樹脂の部分、つまり松脂(マツヤニ)なのです。

森林の多様化を訴えるこの団体は、松の木には「テレピン油」の原料となる樹脂が豊富に含まれており、この樹脂は「非常に燃えやすい」成分が含まれている、と説明しています。

今年の5月末に始まった断続的な猛暑で乾燥した松の木は、巨大な松明(タイマツ)となって燃え盛っているのです。

加えて、火が付いた松ぼっくりが飛び跳ねて周囲に落ち、木の根元を覆う枯れ葉や小枝、雑草に引火することで、火災の拡大を促してしまっています。

 

フランス全国から消防士ら・軍隊も出動、パリ市の面積の4倍が消失

今回の森林火災ではすでに4万ヘクタール以上が消失しています。これはパリ市の面積(約1万ヘクタール)の4倍に当たります。

消火に当たる約2,000人の消防士は、フランス全国から応援に来た職業消防士のほか、消防士全体の8割を占める、志願消防士(sapeur-pompier volontaire)と呼ばれるボタンティア消防団員で構成されています。彼らは会社員、自営業、学生などで、会社員は勤務先に都合をつけてもらい出動しています。出動要請があれば消防署に駆けつけ、プロの消防士と同じ任務(消火活動、救助、救急など)に従事します。ちなみに、出動や訓練には一定の手当が支給されます。

このほか、軍隊から1,500人、警官も1,200人が動員されています。

機材を総動員するも、消火活動は難航

水陸両用カナダエアー12機、水投下機(空中消化機7機、消火ヘリコプター4機)、さらに軍用輸送機A400を水投下機に変更して使用するなど、機材も総動員。さらに欧州他国からの人的物的支援もうけていますが、未曾有の大規模火災に、強風などの影響で消火活動は難航しています。

 

この夏、フランス全国の森林火災で22万人避難

ジロンド県、ランド県以外にも、南仏ヴァ―ル県(Var)、コルシカ島など、フランス各地で発生した森林火災による避難民は22万人にも上ります。

15日前から山火事が続くコルシカ島(Corse)では、地上からのアクセスが困難なため空からの消火作業が続いています。

今日から1週間ほど猛暑が再来とのことで、今後の動向が注目されます。

出典:France Info

執筆:マダム・カトウ

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