2023年12月8日(土)、オーク、ホワイト・アッシュ、モンペリエカエデ、セイヨウミザクラなどの木々を植林し、パリの街に「都市の森」(”forêt urbaine”)を作る計画が進められています。その第一弾として、カタローニャ広場(place de la Catalogne)で470種の植林が開始されました。パリ市はすでに市内2箇所の植林スペースを確保していますが、さらに数を増やし、温暖化に備えると発表しています。
パリの中心に4,000平米の森、費用960万ユーロ
モンパルナス駅(gare Montparnasse)からほど近いラウンドアバウト(ロータリーのようなもの)、カタローニャ広場の中心には、1988年に完成した「時間のるつぼ」(« le Creuset du temps »)と呼ばれる、花崗岩をゆるく傾斜させた噴水がありました。
広場全体が鉱物を多く含む花崗岩で覆われているせいか、夏になると猛烈に気温が高くなっていました。
カタローニャ広場(工事前)
ここに小さな森ができると、車の通行は半分に減らされますが、「パリジャンやパリジェンヌは徒歩で森を満喫することができます」とパリ市の広報は宣言しています。
総工費960万ユーロ(約15億円/1ユーロ=約156円)と、この一つの森だけでも膨大な費用がかかりますが、11月に行われたパリ市議会の気候変動対応計画のプレゼンテーション冒頭で、「産業革命以前と比較して、地球の温度が2.3度も上昇しているということは、私たちの生存、パリという都市に住み続けることが可能なのか?といった問題を提起している」と担当議員が述べたとおり、事態の緊急性を表しています。
パリ、温暖化の時代でも住める街に
カタローニャ広場の「都市の森」は、来年パリ五輪の頃には青々とした木々が繁るようになると「気温が約 4 度下がる」とアンヌ・イダルゴ市長(Anne Hidalgo)は説明しています。
パリ市は温暖化対策プロジェクトとして、市内の候補地を検討してきました。
当初、パリの繁華街にも作るとイダルゴ市長が宣言して話題になった候補地の中には、パリ・オペラ座(Opéra Garnier)の裏、リヨン駅(gare de Lyon)周辺など、交通量が非常に多い場所も含まれていましたが、技術的に困難であったり、費用が膨大であったりという理由で断念されました。
パリ市庁舎前広場も対象、五輪前に変貌
パリ市庁舎(Hêtel de ville)前の広場も候補に挙げられていますが、地下に駐車場があること、広場がイベントに利用されていること、歴史的建造物の風景を変えてしまうなど様々な理由で再検討されることになっています。
いずれにしてもパリ五輪までに手が加えられることが決まっています。
カタローニャ広場の次に実現するのは、800平米に約60本を植林する10区のコロネル・ファビアン広場(place du Colonel Fabien)、20区のポルト・ド・ヴァンセンヌ(porte de Vincennes)とポルト・ド・モントルイユ (porte de Montreuil)を結ぶフランス国鉄の線路跡地3.5ヘクタールの2つです。
2024年はパリ五輪開催の年ということで、パリ市は温暖化に対応していく都市として世界中にアピールしたいところです。
年々暑くなる夏に向け、この街に生活するものとしては、多くの「小さな森」がパリ中に増えることを願っています。
執筆:マダム・カトウ