フランス22年のCO2削減2.5%、映画界も削減へ ボルドー〜リヨン間の廃線も復活へ

2023.04.07

フランスCO2削減

2023年4月7日(金)、2022年、フランスは温室効果ガスの排出を前年対比2.5%削減しました。過去数年間、コロナ禍でロックダウンが続いた2020年を除きほぼ変動がありませんでしたが、昨年ようやく削減目標を達成しました。2030年までに40%削減という最終目標達成のためには、映画業界も削減へ一歩踏み出します。民間主導による廃線の復活など、環境に配慮する市民の動きも出ています。

 

コロナ禍で大幅減も、21年は大幅リバウンド

フランスの温室効果ガス排出量を計測する組織Citepaによると、昨年1年間でフランスが排出したCO2は4億800万トンでした。(ちなみに日本は2020年1年間で10億4400万トン)

国が定めた「フランス低カーボン戦略」は、1990年以降、2030年までに排出量の40%削減を目指しています。

昨年1年間の削減目標は4億1000万トン以下に抑えることでしたので、昨年はギリギリ目標以下に抑えることが出来ました。

ロックダウンを繰り返した2020年、企業活動、特に工場なども操業停止しことから、実に対前年9.6%のCO2が削減されています。

ところがポストコロナで企業活動が再開した2021年には、前年比6.4%と一気にリバウンドするなど異例の状況に陥っていましたが、昨年からようやく前年比でみる削減値が正常に戻ったと言えます。

 

昨年、エネルギー危機で一般家庭15%節電

昨年の削減値を月別でみると、最初の9ヶ月間であまり変動がなかったものの、10月〜12月の最後の3ヶ月間で大幅に減っていることがわかります。

これはエネルギー危機対策として行われた、暖房の最高温度を下げる、自治体ごとに夜間照明などを短縮するといった政府の「省エネキャンペーン」効果とみられています。

また、昨年秋〜冬の気温がこれまでになく高かったことも大きく貢献しています。

特に一般家庭電力の消費量が15%減になるなど、国民の努力が結果に結びついています。

原子力発電所 稼働率減で火力発電増

工場などの製造業及び建設業の電力消費も8%減となりましたが、一方、運送及び交通、発電はそれぞれ2%、8%と増えています。

これは原子力発電所の稼働率が減り、その分をガスによる火力発電で補ったことに起因しています。

 

映画界にもCO2削減へ、1本あたりパリ~ニューヨーク750往復分を排出

フランス映画制作の多くは、制作費の一部をフランス国立映画局(CNC : Centre national du cinéma et de l’image animée)からの補助金でまかなっています。

そのため同局は新たに、制作会社に対し補助金を受けた映画の制作中に出したCO2排出量を計測し、提出する義務を設けました。

国立映画局長レスリー・トマ(Leslie Thomas)氏は、雑誌のインタビューに答え「(今回の義務化は)映画業界が排出する量をより正確に計測するだけでなく、でCO2削減の重要性をこの業界に関わる全ての人を啓蒙する目的もある」と語っています。

2024年、廃線のボルドー〜リヨン間復活へ

フランス国鉄が非採算路線として廃線した、ボルドー(Bordeaux)〜リヨン(Lyon)間の鉄道が「レイルコープ(Railcoop)により2024年に再開されます。

レイルコープ社は、民間人の有志が発足し、クラウドファンディングなどで集めた資金と補助金などで運営するフランス初の市民の手による公共交通会社です。

同社によると、廃線されて以来路線復活への要望は絶えず、車を運転しない高齢者や学生に限らず、環境配慮から可能な限り列車で移動する人も増え続けています。

再開の有無を投票で決めたのち、同社はフランス国鉄から中古の列車を購入、開通すればボルドーリヨン間を1日に2往復します。

切符は片道40ユーロで、途中停車駅は、ペリグー(Périgueux)、リモージュ(Limoges) など5駅の予定です。

 

30年に40%減なら、年4%以上の削減要

2030年に現在掲げられている削減目標を達成するには、年間1600万トンの削減が必要になります。

つまり年-4.7%のペースで削減しなくてはなりません。今後、各業界のさらなる削減が必要とされます。

執筆:マダム・カトウ

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