私たちが日常で使っている「レストラン(restaurant)」という言葉。英語だと思われがちですが、実はフランス語が語源だと言われているのをご存知でしょうか?
ここでは、restaurant にはそもそもどんな意味があるのか、どうして料理を提供するお店がレストランと呼ばれるようになったのか、その由来をお伝えします。
*レストランの語源は諸説あります。今回はもっとも有力と言われているものの紹介です。
レストランの語源はフランス語のrestaurer
レストラン(restaurant)の語源はフランス語の動詞「restaurer」から来ているものだと考えられています。この動詞 restaurer の現在分詞が restaurant です。
restaurer の意味を、手元にある辞書(小学館ロベール仏和大辞典)で調べてみると
・〜を復元する、修復する
・〜を復活させる、立て直す
・(体の)機能を正常に戻す
・(20世紀)〜に食物を振舞う、ごちそうする
・〜の体力を回復させる
とありました。
このように「(人などを)回復させる」ことが本来の意味。現在のレストランの意味に近い「〜に食物を振舞う、ごちそうする」は、20世紀になってから使われ始めたものと分かります。
そしてrestaurantは「回復させる場所」という意味で使われていました。それが、しだいに「食事を提供する店」に変わっていったのです。なぜ、このような意味を持つようになったのでしょうか。
レストランの誕生は18世紀
restaurantという言葉が「食事を提供する店」の意味で使われるようになったのは、18世紀のことのようです。
1765年に、ブーランジェという人物(本名は別にある説、店名ではないかという説あり)が始めたパリのお店で、体調を回復させるためのスープを売り出しました。ところが、煮込み料理の権利を持つギルドから訴えられてしまいます。ブーランジェは肉や野菜を煮込んだこのスープを「レストラン」と名付けていたため、裁判で「煮込み料理ではない」と主張して勝訴します。
それからレストランという名の料理を提供するお店が増えていきました。それがやがて体調回復のためのスープではなく、料理と飲み物を提供するお店の総称を「レストラン」と呼ぶようになったといわれています。
*Wikipediaなどを参照
語源を調べることがフランス語学習につながる
レストランの語源は restaurer=回復するという意味のフランス語です。たしかにレストランに行って、美味しい食事をいただくと元気が出てきますよね。
フランスの料理人が誇りを持って仕事をしているのは、語源のとおり「人々に食事を提供し、心身を回復させる仕事」という認識があるからかもしれません。ただ食べるだけの場所ではない、そう考えるとレストランに対する見方も変わってくるのではないでしょうか?
このように、語源を調べることは語学学習にもつながっていきます。日本で当たり前に使われているエクレアやクロワッサンなども、もとはフランス語です。ほかにもフランス語由来の言葉はたくさんありますから、ぜひ調べてみてくださいね。フランス語学習の第一歩は、言葉に興味を持つことです!
執筆:こと