仏検準1級や1級になると、予想外のフランス語表現が出題されることがあります。暗記していなければ答えられない問題も多く、いかにフランスやフランス語の「知識」があるかが重要になってきます。
ですが難しい単語ばかりを覚えればいいわけでもありません。初歩的な単語であっても、思いもよらない表現の問題が出ることもあるのです。それは多義語です。今回は、仏検でもよく出題されているこの多義語についてお話しします。
多義語問題の導き方
2016年の仏検1級の試験に以下のような問題がありました。
A Cette nouvelle m’a rendu( )de peur.
B Ce vin est encore ( ), il faut le laisser vieillir.
多義語(1つの単語でさまざまな意味を持つ言葉)の問題で、( )内に同じ単語が入ります。直訳すると、
A そのニュースを聞いて、私は恐ろしさのあまり青ざめた。
B このワインはまだ若いから熟成させる必要がある。
( )にはどんな単語が入ると思いますか?
答えは「vert」です。vert ですぐに思い浮かべるのは「緑の」「緑色の」という意味ですが、どこにも「緑」は出てきません。それ以外の意味を知らないとなかなかすぐには答えが出てこないかもしれません。
Aは文脈から「(顔色が)蒼白な」という形容詞だと気づけるでしょう。「蒼白な」という単語ですぐに思いつくのは pâle ですね。ところがBのワインに対して pâle は使えないので、ほかに「蒼白な」という意味を持つ単語を見つけなければなりません。
実は「恐怖で蒼白になる」rendre ( )de peur を色で表現すると bleu も blanc も vert も当てはまります。では、この3つのうちのどれが正解なのでしょうか?
正解を見つけるためにはBに注目してみます。ワインについての知識があって vieillir にワインを熟成させるという意味があることを知っていれば、( )に当てはまるのは「熟成していない」という単語だと気づけます。そして vert に「熟していない」という意味があることを思い出せれば、この問題の答えを導き出せたでしょう。
多義語の重要性
フランス語は多義語が多い言語です。1つの単語がいくつもの意味、ときには10個以上の意味を持っていることもあります。多義語は仏検でもよく出題されているため、形容詞・名詞・動詞のいずれも覚えておく必要があります。
上述の vert も、「緑の」「蒼白な」「熟していない」以外にも「生の」「自然の中の」「(老人が)若々しい」「(名詞の前で)厳しい」などさまざまな意味があります。
また vert は慣用表現としてもよく使われています。
・avoir les doigts verts 庭仕事が得意である
・en dire des vertes et de pas mûres ひどいことを言う
・numéro vert フリーダイヤル
・billet vert ドル紙幣(紙幣の色から)
どんなに簡単な単語でも意味が1つとは限りませんから、何通りもの意味と表現を覚えておくことが大事です。覚えていない問題が出たときは、前後の文脈から推測してみると答えがわかるかもしれません。
多義語と慣用表現を覚えて仏検対策をしよう
仏検準1級以上の問題は、知識から想像力を働かせれば解答できるものがあります。ですが限られた時間の中で素早く解答するために、多義語や慣用表現をしっかりと覚えておくことが大切です。やはり仏検準1級以上はいかにフランス語の語彙力があるかがポイントですから、コツコツと勉強していきましょう!
アンサンブルフランセでは、仏検準1級以上に対応したレッスンが可能です。分からないところはレッスンで講師に質問して、仏検に向けて準備を整えてくださいね。
執筆:こと