仏検準1級対策 その1:難易度を仏検2級と徹底比較!

2021.11.15

フランス語今年も実用フランス語技能検定試験(仏検)の秋季試験が近づいてきました。年2回ある仏検のなかでも、1年に1度、秋季にしか受けることのできないのが準1級です。

このシリーズ記事では、秋の準1級試験に向けてその内容や対策をご紹介します。第1回目の今回は、仏検準1級の難易度について、仏検2級との比較を通してお伝えします。

(仏検を受けるメリットについては、こちらの記事「初級者も上級者も…仏検を受ける4つのメリット」を、準1級以外の試験についてはこちらのリストから関心のある級をぜひご覧ください)

 

準1級と2級のレベルを徹底比較!

仏検を主催する公益財団法人フランス語教育振興協会(APEF)は、5級から1級まで7段階のフランス語学習の「程度」と「標準学習時間」を公式HPにまとめています。

求められるフランス語力の違い

まず、フランス語学習の「程度」については、

2級:「日常生活や社会生活を営む上で必要なフランス語を理解し、一般的なフランス語を聞き、話し、読み、書くことができる。」
準1級:「日常生活や社会生活を営む上で必要なフランス語を理解し、一般的な内容はもとより、多様な分野についてのフランス語を聞き、話し、読み、書くことができる。

としており、準1級では「一般的な内容」に加えてさまざまな分野に特化したフランス語能力も求められることがわかります。また「新聞・雑誌などの解説・記事を読み、その大意を要約」する能力が必要と想定されており、教科書などに限られない、さまざまなフランス語のリソースを理解することが求められています。

学習時間の違い

標準学習時間については、2級が「400時間以上(大学のフランス語専門課程4年程度)」であるのに対し、準1級は「500時間以上(大学のフランス語専門課程卒業の学力)としており、約100時間の差があるとされています。

もちろん、学習方法にもよりますが一概に「2級合格から100時間勉強すれば準1級レベル」と言えるわけではありません。

語彙数の違い

2級では「約3000語」、準1級では「約5000語」が求められます。単純に計算して2000語の違いがあるようです。

 

準1級と2級の試験形式を徹底比較! 筆記試験編

1次の筆記試験に合格後、2次の口頭試験に進み最終合格という流れは2級と同じです。筆記試験が「読解など」「書き取り」「聞き取り」からなる点も共通しています。

異なるのは、各試験の配点・回答方式(マークシート方式と記述式の割合)・2次試験の方式です。

筆記試験の試験時間、配点、問題形式

筆記試験では、準1級は2級よりも試験時間が10分長く、配点は12点高くなります。

2級になく準1級にある問題は以下です。
第1問 派生語の穴埋め、記述式
第2問 異なる意味をもつ単語の穴埋め、選択式
第4問 文中の動詞穴埋め、記述式
第7問 指定箇所の要約など、日本語の記述式
第8問 仏作文

それぞれの対策法については、こちらの記事でご紹介します!

書き取り・聞き取り試験の試験時間、配点、問題形式

書き取りと聞き取りの試験時間は、合わせて35分です。

書き取り試験の配点は2級よりも6点高くなります。

2級では書き取り内容を4回聞くことができるのに対し、準1級では3回のみになります。分量は準1級の方が1〜2文ほど多く、慣用句が多い・長めの単語が増える、などの特徴があります。

聞き取り試験の配点は2級よりも2点高いです。

聞き取りの問題形式については、第1問(インタビューの穴埋め)は2級と大差ありません(もちろん単語のレベルなどは異なります)。大きく異なるのが、第2問で聞き取る内容です。2級は日常的な内容(2011年の過去問ではモノグラフ)であるのに対し、準1級では「ある年金生活者(retraité)に関するニュース」といった社会的なテーマかつニュースの形式で、第三者が内容を語ります。

 

準1級と2級の試験形式を徹底比較! 口頭試験編

1次試験を突破したと仮定して、2次試験の内容を比較してみましょう。

試験時間、配点

2次試験の試験時間は、2級で約5分なのに対し準1級では7分です。

筆者の体験では、2級は自己紹介に数分が割かれるのに対して、準1級では自己紹介などにほとんど時間をとらず、7分間ほとんどをテーマに沿って話した記憶があります。

配点は2級で30点(全体130点中の約23%)なのに対し、準1級では40点(全体160点中の25%)です。

問題形式

大きく異なるのが問題形式です。2級は「日常生活に関する質問に対して自分の伝えたいことを述べ、相手と対話を行う」もので、「お正月はどのように過ごしましたか(Comment avez-vous passé le Nouvel An ?)」「毎日、朝食をとりますか(Prenez-vous votre petit déjeuner tous les matins ?)」など、一行程度の質問で身近な話題が中心です。

これに対し準1級では「与えられたテーマのなかから受験者が選んだものについての発表と討論」を行います。社会的な話題が中心で、「3月11日以降、訪日観光客が急減した。あなたの考えでは、どのようにすれば外国人旅行者が再び日本に来られるか(La fréquentation touristique du Japon a considérablement chuté depuis le 11 mars. Selon vous, comment peut-on faire revenir les voyageurs étrangers ?)」など、問題文にニュースや統計などが含まれ、意見を問うものになります。

 

まとめ

DAPFによれば、仏検2級は「フランス語が『使える』」、準1級は「ビジネスレベルの実力」を問う試験です。

準1級を2級と比較してみると、その違いは試験時間が長い・配点が増えるなどのほか読解や聴解の内容が日常的なものよりも社会的なものになる・日常的な経験だけでなく意見などを述べるコミュニケーション能力が問われるなどです。

次回以降の記事では、具体的な対策法や筆者の受験体験記をご紹介します。試験対策のかたわらお読みいただけたら幸いです。

執筆あお

※問題例などで引用した過去問は、公式HPに公開されている2011年のものです(APEF「過去問題サンプル」)

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