フランスの大学院進学に必須基準となる「DALF C1」(Diplôme approfondi de langue française)は、フランス政府認定の公式資格です。(DELF/DALFの基本情報は、こちらの過去記事「フランス語検定試験DELF/DALFとは?(1)」「フランス語検定試験DELF/DALFとは?(2)」 をご覧ください。)
この記事では、「DALF C1」の難易度について、仏検との徹底比較を通してお伝えします。
どちらが難しい!?「DALF C1」vs 仏検
「DALF C1」は、仏検準1級・1級レベル?!
よく言われるのは、「DALF C1」は、「仏検でいう準1級~1級レベル」にあたるということです。
しかし目安となる学習時間について仏検サイトとDELF/DALFサイトを見てみると、「準1級」が「500時間以上」、「1級」が「600時間以上」とされているのに対し、「DALF C1」は「800-950時間」と書かれています。
仏検には1級以上のレベルがないので、なんとも判断できない部分もありますが・・・C1に受かる人は大体、準1級はラクに合格している、というのが筆者の感覚なので、噂も半分くらいは当たっているのではないかと思います。
ただし、以下のように、DALFの方が得意な人もいますし、反対もしかりです。学習経験の点では、仏検準1級に合格できるレベルの人が、対策を行えばC1に合格できる、ということなのでしょう。
テストの目的の違い
実はヨーロッパ基準のDALFと、日本基準のフランス語検定(仏検)は、全く異なる目的でつくられています。
シンプルに言うと、DALFはフランス社会あるいは欧州においてフランス語を使える人を対象にしているのに対して、フランス語検定では、日本語を理解する人を対象に、フランス語の実用的な使用能力を測ることを目標にしているテストです。
同じフランス語試験なのに!と思われるかもしれませんが、テストは各機関によってそれぞれの基準でつくられているのです。
対策のし易さの違い
DELF/DALFは問題も説明もフランス語で出されるので、とっつきにくいイメージがあるかもしれません。反対に、日本語の対策本があり、日本語で問題も出される仏検は、「日本人にとって合格しやすい」という風に言えるでしょう。
しかし、仏検は日本語とフランス語の翻訳能力が求められる点では、DALFよりも難しいです。
ある難しい単語の意味を知っているかについて、DALFと仏検でどのように問うてくるか、考えてみましょう。
DALFでは、その意味を「平易なフランス語で表現できるか」をテストします。仏検では、「適切な日本語訳を思い浮かべることが出来るか」をテストするのです。
よって、留学経験があり、フランス語を流暢に話せる人でも、翻訳能力がなければ、仏検合格は難しいです。逆に、仏検の問題集を完璧にこなせる人であっても、フランス特有のものの考え方や、論理に慣れていなければ、DELF・DALF合格は難しいです。
まとめ
「フランス語上級者への登竜門」、「DALF C1」と仏検の違いはご理解いただけたでしょうか?
実際に、筆者は仏検準1級を持っていますが、「DALF C1」の受験は一度失敗しています。この原因はまさに、双方の特徴を分からずに受験してしまったからでした・・・。
この記事を参考に、効率よく対策していただけたら幸いです。次回は、”DELF B2”との難易度の差についてご紹介します。
参照
公益財団法人フランス語教育振興会 「仏検 試験内容・試験形式」
DELF/DALF日本オフィシャルサイト
執筆あお