「オリンピック・パラリンピックウィーク」小学校では毎日30分の運動の取り組み

2023.04.05

4月3日から8日、フランスでは「オリンピック・パラリンピックウィーク」として、教育におけるスポーツの振興や啓発などに取り組んでいます。

フランスの子どもは、どのような体育科教育を受けているのでしょうか?

 

「オリンピック・パラリンピックウィーク」

「オリンピック・パラリンピックウィーク(la semaine olympique et paralympique)」は、フランスが2024年のオリンピックのホスト国になったことにちなんで、設定されました。

4月3日から8日までの一週間、フランス各地の学校では、スポーツを取り入れた学習活動や、オリンピック競技の学習などが行われます。

肥満が社会問題化

この目的は、将来のオリンピックスターを育てることはもちろん、肥満など生活習慣病を予防することにもあります。

とくにコロナ禍では、外出制限などにより子どもの肥満率が上昇し、社会問題となりました。パリ南東の郊外にあるヴァル=ド=マルヌ(Val-de-Marne)県では、2018年度から2020年度までの4歳児の肥満率が8.6%から11.2%まで上がっています(就学児に関するデータ)。

ル・パリジャン誌による調査では、6年生の5人に3人が、片足けんけんで4回連続でジャンプできない、というデータが明らかになりました。

 

毎日「30分スポーツ」

2022年度の新学期からは、「学校で日常的に30分スポーツを行う」という取り組みが各地で行われています。

フランス政府によれば、当初は3万6,000の教育機関で行われてきた「30分スポーツ」の取り組みは、2023年には7万校まで拡大しています。

この「30分スポーツ」を広めるため、フランス政府は、オリンピアンなど154名のスポーツ選手と協働しています。

例えばハンドボールで4回も五輪に出場し、ロンドン大会また北京大会でフランスチームを金メダルに導いたジェローム・フェルナンデス(Jérôme Fernandez)氏や、スケートボーダーまた神経学者として知られるシャルロット・イム(Charlotte Hym)氏などです。

現場の声

一方、「30分スポーツ」を行う教師からは反発の声もあります。

具体的にどのような学習活動を時間割に組み込むのか、通常の体育の授業とのバランスについて、政府が明確な指針を出していないためです。

また、体育以外にも、算数やフランス語などの主要教科に期待する保護者の声もプレッシャーとなっているようです。

ニースのある学校では、「30分スポーツ」は小学校2年生また3年生のみを対象に行い、1年生には行っていません。その理由は、1年生にとって算数やフランス語の学習のほうが重要だと考えられているためです。

設備面の問題

また、一部のフランスの学校には、雨天でも使用できるグラウンドや、中庭がなく、「30分スポーツ」をやろうとしても場所が足りないとの問題があるようです。

たとえ十分な場所があったとしても、あらゆる担任が同じ時間に「30分スポーツ」を取り入れようとするがために、子どもで満杯になってしまうこともあるといいます。

設備面についてさらに、政府はホイッスル、ボールなど遊び道具の配布を1万7,000校に行っています。2023年度末までには全ての教育機関へ配布する予定ですが、配布を未だに待っている学校も少なくありません。

そもそもフランスでは、プール、グラウンド、体育館などの設備が整っているかどうかについての地域差がかなり多いことが知られています。居住地によっては、これらの設備がない学校に通わざるを得ないのです。

おわりに

週3時間の体育の授業に加えて、毎日30分の運動を取り入れるという試みで、フランスから未来のオリンピックスターは出るのでしょうか?

執筆あお
フランス国民教育省 La semaine olympique et paralympique
フランス国民教育省 EDUSCOL 30 minutes d’activité physique quotidienne

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