ロックダウンから3年、「ポスト・コロナ」のフランスの若者は今

2023.04.04

フランス、ポストコロナの若者は今2023年4月4日(火)、フランス政府は2020年3月17日、新型コロナウイルスによる最初のロックダウンを発令、国民は1日1時間の外出時間を除き、約3ヶ月間家に閉じこもる生活を強いられました。あれから3年が経ち、コロナ禍はほぼ忘れ去られたかのような日常が戻ってきましたが、この未曾有の経験をしたフランスの若者たちはどう変わったのでしょうか?

 

あれから3年、「明るさ」を取り戻せない若者たち

調査会社オピニオンウェイ(Opinionway)は18歳〜30歳の若者を対象に、コロナ後の生活や精神状態について、#MoiJeune(「私という若者」)というテーマのアンケートを行いました。

2020年3月17日に始まり1年あまりで数回のロックダウンを経験した若者たちは、解除後、今を精一杯に生きようとあふれんばかりのエネルギーを発散させているのではないかと思いがちです。

ところが、新型コロナが下火になったとはいえ、この3年間でインフレ、ウクライナ侵攻、エネルギー危機、温暖化による気候変動などを経験する若者たちは、現在の精神状態について、78%が「良くない」と回答しています。

#MoiJeuneの別の調査で若者たちに「自分たちの世代を象徴する形容詞は?」と質問したところ、「迷った、疲れた、憂鬱、犠牲になった、がっかりした」と、否定的で「暗い」単語ばかりが使われています。

回答された中にあった唯一ポジティブな単語は「つながっている」でした。

四六時中スマホやパソコンの画面に向かい、インターネットで「つながる」18歳〜30歳の若者たちは、だからといって仲間たちとわいわい「アペロ」(軽く飲みに行くこと。食事はしない。本来は食前酒の意味)をしに街に繰り出すわけでもありません。

 

猫、読書、ハーブティーで「不安解消」

社会情勢や将来への不安という「脅威」に晒される若者たちは、コロナ禍で身につけた新しい習慣、「家の中で過ごす」ことで自己防衛をはかっています。

家という最もリスクの低い場所で、猫をなでながら、お酒ではなくハーブティーを飲み、読書をすることで安心感に包まれます。

スローライフが主流、内向的に

家の中では一人で特に何もせず、健康に良く美味しいものを食べることに「小さな幸せ」を見出しているようです。

調査に参加した18歳〜30歳の若者の42%が、コロナ禍以降こういった「スローライフ」的な時間を過ごすことが増えたと答えており、パーティーに行く(- 38%)、芝居や映画を観に行く(- 33%)はいずれも大幅に減っています。

安心できる居場所を求め、一人で時間を過ごすという内向的な現象が見られる中、一方では、4回のロックダウンで「人肌恋しく」なり、愛情を求めて「カップルで生活することが理想」だと71%の若者は答えています。

 

旅行、卒業、就職など人生の重大行事、コロナで全てが遅れ

18歳から30歳までの間というのは人生の中で、多くの大事な出来事を経験する時期でもあります。

本人の人格形成も含めたこの大事な時期に、長期の旅行をしたり、学校を卒業し、最初の就職をしたり、人によっては最初のアパートを購入したりと、人生の様々なステップをふみます。

ところがコロナ禍で、初めての大旅行(22%)、最初の就職(21%)、最初のアパート購入(20%)、カップルでアパートを借りて住む(15%)、子供を持つ( 38%)といった人生の計画が延期されてしまいました。

 

1980年当時の若者、お金とキャリア

80年当時の若者は、たくさんのお金を稼ぎ、出世することに精を出し、将来については、健康であること、十分な経済的基盤がありお金の心配が無いこと、家庭を築き、子供を持つことが重要だと考えていました。

彼らはお酒のがぶ飲み競争をしたりと、若者の特権である無邪気な時間を過ごしていました。今の若者はこの「無邪気な青年期」を送ることができなかったと感じています。

今の若者、仕事よりプライベート、節約して貯蓄

調査結果では、18歳〜30歳の若者のわずか11%が、仕事に生きがいを見出しており、73%が将来のために節約し、お金を貯めていることが明らかになっています。

 

若者個人の時間充実も、社会的損失は大

ロックダウンが終わった直後、人々はオンライン飲み会はすぐにやめましたが、テレワークはキープしています。

若者は自分の時間を大切にし、「より良い消費行動」と「健康」に重きをおき、企業やこれまでの消費社会に背を向ける傾向が増加しています。

コロナ禍で確かに彼らの個人生活は充実してきたかもしれませんが、社会としての損失は否めません。

調査結果では31%の若者が、2023年に「若者であること」は3年前に比べてより「厳しい」と答えています。

執筆:マダム・カトウ

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