パリ五輪の裏側② ストもありうる?パリ五輪中の交通事情

2024.06.24

写真:五輪が掲げられたエッフェル塔の足元では競技会場の設置が進む

パリ五輪のスローガンは「Games wide open」。誰にでも開かれた五輪という理念から、スタジアムだけではなくパリの観光名所を競技会場にするというアイデアが実行されています。エッフェル塔やセーヌ川など、世界的に有名な風景をバックに世界最高峰の競技を観戦する…。世界が抱くパリのイメージを見事に実現する、フランスらしいおしゃれなアイデアです。ですがもちろん、市内交通への影響は避けられません。今回は五輪期間中の交通事情についてご紹介します。

 

パリの名所も閉鎖

五輪の競技会場はパリ市内に13か所、郊外に11か所。パリ市内ではエッフェル塔周辺やコンコルド広場、ヴェルサイユ宮殿庭園などの観光名所も会場になります。

会場と種目マップ

すでに今年の4月から、会場設営のため交通規制が始まっています。日本人もよく訪れるコンコルド広場やアレクサンドルⅢ世橋は5月末に閉鎖済。また開会セレモニーが行われるシャイヨ宮前のトロカデロ広場横の巨大なロータリーでは、来賓席や放送席の建設が大詰めを迎えています。

7月に入ると開会式の観客席設置のため、通行止めの範囲も広がります。セーヌ川で行われる開会式の当日はすべての橋が通行止めとなり、テロを警戒してパリの半径150km以内は飛行機の運行も禁止される徹底ぶりです。

写真:6月よりコンコルド広場へは車の乗り入れができなくなった

期間中、大会関係者はパリ郊外に設置される選手村と、パリ市内の競技会場を行き来することになります。そのためパリを取り囲む環状線(Boulevard périphérique)や、空港からパリにつながる高速道路など、計185kmに渡り1車線が大会関係者専用レーンとなります。これにより、一般車両の渋滞が激しくなるのではと憂慮されています。

写真:通行止めのバリケードがパリの街なかで見られるようになった

期間中のパリ市内の交通規制は、おもに以下に分けられます。

グレーゾーン(通行証のある人・車両、または五輪観戦チケット所持者のみ通行可能)
レッドゾーン(歩行者・自転車・キックボードは通行可能。車は通行証が必要)
ブルーゾーン(歩行者・自転車・キックボードは通行可能。車は通行理由を証明する書類が必要)

レッドゾーンとブルーゾーンは、基本的には競技開始の2時間半前から終了1時間後まで適用されます。

 

無償化のはずが…地下鉄は大幅値上げ

車の乗り入れ制限にともない、公共交通機関が15%増便されます。そのコストは利用者が負担する方針で、7月20日から9月8日まで通常2.15ユーロの地下鉄1回乗車券が4ユーロに、17.35ユーロの10回券(Carnet de 10)が35ユーロになります。

割安チケットとしては、パリ地域圏全域で有効な「Paris 2024」という乗り放題パスが1日券16ユーロ~、1週間券70ユーロで販売される予定です。

パリ五輪誘致の際には、大会中の市内交通の無償化を公約にしていました。それを何もなかったかのように普段より高い料金をさらっと適用するあたり、フランスらしさが満載です。

一方で延線も

一方、地下鉄14番線の延線工事が完了し、五輪直前の6月24日に合計8駅分南北に延びます。これにより、これまでは近郊鉄道(RER)でしかアクセスできなかったパリ北郊外のサンドニ市やサントゥアン市や、南のオルリー空港まで地下鉄で行けるようになります。

五輪のような世界的イベントの開催にあわせて、公共工事が進み交通網が整備されるといういい例です。

ストライキの可能性も?

仏運輸省が提供する五輪・パラリンピック期間中の交通情報サイトでは、日時を指定すると、予想される道路渋滞や混雑・閉鎖する地下鉄駅が表示されます。世界的なイベントには慣れているパリですが、ここまで大々的なイベントは初めての経験。どこまで予想できるか不安は残ります。ただ混雑するエリアを避けられるなら、特にパリに不慣れな訪問客にはありがたいシステムです。

交通機関混雑予想マップ

とはいってもここはフランス。パリ交通公団RATP(地下鉄・バス等を運営)の労働組合は、五輪期間中でもストライキを行う可能性があると予告しています。実際に街がどんな様子になるのかは、当日まで分かりません。

写真:トロカデロ広場ではロータリーを閉鎖して来賓席や放送席の設置が進む

 

交通規制は不便だけど…

世界的なイベントに交通規制はつきもの。今夏、パリ市内の移動は少なからず不便になりそうです。一方で、世界的に有名な観光名所と最高の競技を同時に堪能できる貴重な機会でもあります。今までの五輪には期待できなかった画を見るのも、今回の五輪の楽しみ方と言えそうです。

執筆 Takashi

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