2023年12月12日(火)、パリ五輪の準備が各方面で着々と進む中、選手村の食事のメニュー作りも1年がかりで進められています。五輪期間中、世界中から来る約15,000人の選手を迎えるため、シェフらもメニューの決定には審査員たちの厳しい目にさらされます。
世界中のアスリート用の食事、1日40,000食
オリーヴをちりばめたキヌアサラダ、レンズ豆のスープ、スパイシーな羊肉のコンフィなど、担当シェフのシャルル・ギロワ(Charles Guilloy)氏は、選手村の食事のメニューを審査員たちのために用意しています。
パリ五輪期間中、世界で最も大きな簡易レストランとなる選手村では、24時間食事をとることができます。
トップアスリートの食事は、ハイレベルのスポーツを行うため質の良い栄養を補給するという目的を果たさねばならないため、メニュー作りには様々な制限があります。しかも、様々な食文化を持つ国の人たちが一堂に集まるため、ハードルは一段と高くなります。
この大役を任されたシャルル・ギロワ氏は、フランス最大の社員食堂運営会社ソデクソ(Sodexo)の料理アドバイザーで、団体食の専門家でもあり、シェフはすでにこの1年で550種類ものメニューを完成させています。
選手の食事にも審査委員会
試食には10人ほどの審査員が参加しますが、その中にはフランスラグビーチームを担当するエヴ・ティオイエ(Eve Tiollier)氏を含む2名の栄養士、バイアスロン男子で3つの金メダルと2つの銀メダルを持つ世界チャンピオン、現在パリ五輪委員会のメンバー、マルタン・フールカド(Martin Fourcade)氏もいます。
ティオイエ氏は、皿に乗った肉の脂身をフォークでつついて「試合が接戦になるような段階に入ると、脂身はあまりオススメできない」とコメントしています。
また元バイアスロンチャンピオンは、シェフへの意見として「スパイスは標準的なレベルに抑えて、好みに応じて追加できるようにしたほうがいい」と話しています。
この日用意したメニューは承認されました。これから来年の夏まで更に追加は続きます。
フランスの「美食アピール」に、星付きシェフの料理もメニューに
オリンピックはフランスのガストロミー、美食をアピールする場でもあります。
選手村のレストランのメニューの一部には、ミシュラン一ツ星シェフ、アクラム・ベナラム(Akram Benallal)氏の手がける料理も登場します。
栄養価の高いキヌアをヨーグルト風味にしたという「キヌアのムスリーヌ、ベナラム風」など、アスリートにもフランスのグルメを堪能してもらう予定です。
シェフはレストランで、NBAのスター、ルブロン・ジェームス(LeBron James)や、フランスの柔道金メダリスト、テディ・リネール(Teddy Riner)、もしかしたらサッカーフランス代表のエムバペ(Kylian Mbappé)に会えるかもしれないと今から楽しみにしています。
Restaurant Akramのサイト
執筆:マダム・カトウ