パリ五輪開催期間中どうなる市内の交通 利用者増・通行止・五輪専用

2023.12.01

2023年12月1日(金)、来年7月26日からのパリ五輪に向けて、公共交通機関への特別措置や市内の交通規制などが検討されています。「試合会場への移動は全て公共交通機関で」と「環境に配慮した五輪」を宣言したイダルゴ(Anne Hidalgo)市長ですが、最近のインタビューで「一部の交通機関の準備は間に合わない」と発言しています。開催期間の市内及び郊外の移動は無論、夏のバカンスへの出発など、市民の生活に大きな影響を与えそうです。

 

パリ地下鉄、1日最大150万人の利用者増

例年、夏のバカンスシーズンのパリ地下鉄(RATP)利用者は、1日あたり800万〜900万人ですが、五輪開催期間中は日によってはさらに150万人増えることが予想されています。

これは通常の8月の利用者数と比較した場合、週あたり15%増、週末は30%増になります。

とはいえ、今年の11月の利用客数のピーク日が1,200万人だった事を考えると、「懸念するには至らない」とパリ地下鉄公団は説明しています。

特に混雑が予想されるのは、試合会場が路線上にある8、9、10、12、13番線で、RATPは殺到する人の流れをどのようにオーガナイズするか、特にローランギャロス(Roland-Garros)と パーク・デ・プランス(Parc des Princes)といった競技会場が集中するパリ西部の駅周辺での安全管理と特別対策を検討しています。

パリ警視長官ローラン・ニュネス(Laurent Nunez)は、「観戦者を荷物検査とボディチェックなしで会場に入れるわけにはいかない」と、メトロの出口が試合会場のテロ対策保護境界線内にあるものについてはそれなりの措置をとるとしています。

同氏によると、試合会場のみならず、パリ郊外セーヌ=サン=ドニ県(Seine-Saint-Denis)にある選手村やメディアセンター、マラソンや自転車ロードレース時の街頭、および市中開催の開会式など全ての交通アクセスに保護境界線が敷かれます。

組合側、運営が上手くいくのは「奇跡」

パリ地下鉄公団の組合の一つソリデール(Solidaires) RATPの代表で、3番線の運転士を務めるフランソワ=グザヴィエ・アルール(François-Xavier Arouls)は、そもそもトラブル発生で頻繁に止まるのが「日常茶飯事」のパリのメトロで、会社側が提示する五輪期間の様々な「素晴らしいお約束」が予定通りに実現するという「奇跡は信じていない」とコメントしています。

同氏によると、パリ地下鉄の日々のオペレーションで、すでに運転士も車両もラッシュ時の案内要員も不足しています。

 

パリ郊外高速列車、五輪期間中「終日ラッシュアワー」に

フランス国鉄SNCFが運行するパリ郊外行き高速列車RER線も、大幅な利用増と安全対策への準備を行っています。

同社の郊外交通責任者アラン・リバ(Alain Ribat)氏は、現在の利用客の流れを駅ごと、人の流れの方向ごと、日ごと、分ごとに分析した結果、開催期間中4500本が増便されると発表しています。

その結果、ベルサイユ(Versailles)方面に行くC線は終日5分に1本運行され、フランス最大の競技場スタッド・ド・フランス(Stade de France)行きのB線およびD線も試合開始前3時間、終了後1時間大幅に増便されます。

また五輪開催の約2週間前、7月8日より全ての工事は中止されます。

組合側、期間中のバカンス返上について「五輪より社員の幸せが大事」

フランス国鉄の組合側も、「パリ五輪開催はフランスにとって素晴らしい機会だと思うが、車両も運転士も人員整理係も不足している中、どうやって増便できるのかわからない」と懐疑的です。

同氏はさらに「一般の社員も五輪に反対しているわけじゃないが、会社側は夏のバカンスをこの時期は禁止しようとしており、申し訳ないが五輪より社員個人の幸福の方が重要だ」とコメントしています。

 

バスも五輪が優先、ルート変更、専用レーン

市内を走るバスは来年の3月ごろから五輪終了まで、1本を除き全てルート変更になります。

五輪開催はまるで「毎日ツールドフランス(Tour de France)のゴールがパリ市内で開催されている」ような状況になるだろうと関係者は話しています。

さらにパリ市内のバスは、開催期間中に滞在するアスリート15,000人及び関係者20万人の移動手段として、会場と選手村を一日800往復するため、約50秒に1本運行します。

渋滞の激しいパリ市内を早く移動するため、バスは市内に設けられる「五輪専用レーン」を走ります。

 

7月1日よりパリ及び郊外の一部道路、環状線、高速など一般車両通行禁止に

来年7月1日から9月15日まで、パリ及び郊外イル=ド=フランス(Ile-de-France)内の一部の道路は約185kmにわたり、公共交通機関と消防、警察などを除き、通行許可をもつ五輪関係者専用道路となり、一般車両は通行止になります。

通行禁止になる道路のリストはこちら

パリに通じる高速道路のうちA1号線、 A13号線の一部も通行止になるため、パリに用事がなくてもこの期間フランス国内を自家用車で移動する際には影響が出ます。

パリ市内も車両通行止あり、夏のバカンス移動に要注意

パリ市内の車両通行止も行われますが、自転車や徒歩は許可されます。詳しくはパリ市のサイトにて

また、会場近くには保護境界線が敷かれ荷物検査が行われます。

車両通行止は朝の6時半から0時までですが、試合開始時間により短くなる事があります。

この期間にパリにお見えの方、パリ近郊移動や、夏のバカンスに行くため空港への移動をされる方は事前に情報収集されることをおすすめします。

執筆:マダム・カトウ

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