2024年4月19日(金)、パリ五輪開催まで100日を切り、大会ビジター用のパス「Pass Paris2024」の販売が開始されました。大会は26日開始ですが、特別運賃の期間は7月20日~9月8日となり、この期間は大会観戦に行かない人もメトロのチケットが倍になるなどのとばっちりを食らうため、パリ地下鉄公団はパリ、および郊外のイル=ド=フランス(Île-de-France)の住民に事前購入を促しています。
パリ五輪のための増便、工事、公共交通に2億ユーロの費用増
大会期間中、大量に訪れる観光客、大会関係者、ボランティアなどでパリおよび試合会場への公共交通は大変な混雑が予想されます。そのため、イル=ド=フランス交通公団(Île-de-France Mobilités)は期間中15%の増便を予定しています。
同公団のオリンピック期間の費用負担増は、増便だけでなく複数の路線の延長工事費用などが含まれますが、オリンピック委員会が負担する新規のバス購入費用などを差し引いても、2億ユーロ(約3294憶円)にも上ります。
7月20日~9月8日期間の特別(に高い)運賃
「大会期間中は無料」と夢のような約束だったパリの公共交通機関運賃は、結局特別運賃に変更されました。
地元のメディアでは「インフレなんてかわいいもの」「値上げのチャンピオン」と皮肉られ、タバコやガソリンの値上げよりもひどいと酷評されています。
パリ市内メトロチケット1枚:4ユーロ(約650円) 現行:2.10ユーロ(約340円)
カルネ(チケット10枚):32ユーロ(約5,300円) 現行:17.35ユーロ(約2,850円)
郊外列車RERチケット1枚(区間による);6ユーロ(約980円)、現行:2.15ユーロ(約350円)
ビジター用パス「Pass Paris 2024」販売開始も酷評
販売開始が昨日発表されましたが、こちらも「いったい誰がこんな高いパスを競って買うわけ?」などのコメントが飛び交っています。
このチケットの利点は、オリンピック会場への移動のみならず、ド・ゴール(Charles de Gaulle)、オルリー(Orly)両空港から市内までの移動に利用できることです。
1日乗り放題券 :16ユーロ(約2,600円)
1週間乗り放題券:70ユーロ(約11,500円)、現行:30ユーロ(約4,900円)
2日~6日もあり。
くわしくはこちら(仏語)
パリ在住者用パス「ナヴィゴ」年間、月間利用者は通常料金のまま
ナヴィゴ(Pass Navigo )と呼ばれるパスの利用者へのオリンピック特別運賃の適用はありません。
ただし、年間パスと月々チャージするパスの利用者のみが対象です。パスの登録には顔写真と住所を証明する書類が必要となります。
例えばパリ市内の場合、ひと月あたり86,4ユーロ(約14,169円)の現行料金が維持されますが、そもそも今年すでに2,30ユーロ(約380円)値上がりしています。
カルネ、チャージ式パスの利用者むけ対策
チケット1枚からチャージできて誰でも利用できる「ナヴィゴ・イージー」は大会期間中特別運賃が適用されるため、利用者は7月20日より前にチャージしておく必要があります。一方、パリ、イルドフランス在住者向けで、銀行口座を紐づけて一枚から割引料金で買える「ナヴィゴ・リベルテ+」は値上げ対象外です。
7月20日前にチャージすれば現行料金、だれでも買えるナヴィゴ・イージー
NAVIGO EASY :
チケット1枚:2.10ユーロ(約340円)
チケット10枚:17.35ユーロ(約2,850円)
詳しくはこちら
パリ、イルドフランス在住者なら、アプリPass Liberté +に登録すると、チケット1枚から割引料金で買えます。
大会期間中も料金が変わらない、在住者限定パス、ナヴィゴ・リベルテ+
Pass Liberté +:チケット1枚:1.73ユーロ(約283円)
地下鉄⇔バスへの乗り継ぎが1時間半以内ならチケット1枚で乗車可能
一日の利用金額に上限があり、盗難時にすぐに解約可。
詳しくはこちら
※ナヴィゴやパスの五輪期間中の利用条件一覧はこちら
詐欺にご注意を
「たまにしかメトロに乗らない」という方も、一回どこかに往復するだけで8ユーロは(約1300円)痛いものです。ナヴィゴ・イージーに多めにチャージしておくか、ナヴィゴ・リベルテ+を申し込んでおいた方がいいかもしれません。
また、最近Facebookなどで「大会期間中の地下鉄フリーパスを安価で譲る」と、販売している輩がいますが、このようなパスは存在しません。詐欺にはくれぐれもご注意を。
執筆:マダム・カトウ