2023年12月15日(金)、クリスマスまであと10日。プレゼント購入にスパートをかける人も多い中、そろそろクリスマスディナーの準備も始めたいところです。この1年、インフレで食料品価格の高騰が家計を直撃していますが、クリスマスディナーに欠かせない食材がかつてないほど値上がりしています。フランスのメディアが一家6人分の買い物の合計金額を昨年の分と比較しています。
クリスマスディナー、1年で18%の驚異的な値上がり
一家6人分のクリスマスディナーの買い物の合計は、昨年122.45ユーロ(約19,102円/1ユーロ=約156円)でした。
同じ買い物が今年は144,36ユーロ(約22,520円)、実に22ユーロ(約3,632円)も値上がりしています。
この驚くほどの値上がりの半分、11ユーロ(約1,716円)は、フォアグラと七面鳥というたった2つの食品によるものです。
価格は2つで46.40ユーロ(約7,238円)と買い物合計の3分の1を占めています。
鳥インフルエンザで供給減
フォアグラの原料となるガチョウやアヒル、七面鳥の飼育は、昨年流行した鳥インフルエンザの影響で壊滅的な打撃を受けました。その後飼育が再開されると、農家は再発防止のためこぞって鳥に予防接種を行いました。こういったコストも価格に転嫁されています。
フランスの典型的なクリスマスディナーの買い物リスト
日本の家庭では馴染みのないクリスマスディナー、当然、地域や個人により違いはあるものの、フランスでは「お決まり」のメニューがあります。
いつ頃からこのメニューになったのかは不明ですが、今回メディアが価格を比較した「典型的な買い物リスト」は下記の通りです。
・フォアグラ 瓶入り180g
・スモークサーモン 300g
・ブリニ(スモークサーモンと一緒に食べる、ロシア由来の小さいパンケーキ)1パック
・ホタテ貝(冷凍)300g
・シャンパン(ブリュット:辛口) 1本
・マロンのシロップ漬け 缶詰 500g
・ポムノワゼット(2㎝大のポテトボール)1kg
・ドライフルーツミックス 1パック 450g
・アイスクリームケーキ版 ブーシュ・ド・ノエル 6人分
・フルーツケーキ
・チョコレートの詰め合わせ 345g
値上がりした上に量も減った、「シュリンクフレーション」も横行
シャンパンは昨年から3ユーロ(約470円)値上がりし、チョコレートは今年は一箱13.03 ユーロ(約2,074円)もします。同じチョコレートの詰め合わせは、昨年9.58ユーロ(約1,494円)で、しかも1箱350gでした。
つまり値上がりしたうえに、中身の質が悪くなったり量が減る、英語のシュリンク(shrink)とインフレーション(物価高)の造語、「シュリンクフレーション」が横行しています。
物価高のあまり、消費者は見た目の価格が安いものに惹かれるところに目をつけたメーカー側が、消費者に気づかれない程度にこっそり量を減らしたり質を下げるわけですが、よくよくみると1キロあたりの価格の値上がり率は、表示価格の差以上に高くなっています。
クリスマスが近づくにつれ、さらなる値上がり
季節ものの商品、シーズンが近づくと「さらに高くなった気がする」消費者は多いと思います。
そこで、同じものを11月6日の週に購入した場合と、27日の週で比較してみると、買い物の合計金額が27日だと2ユーロ(約312円)高くなっていました。
値上がりしたのはスモークサーモンで、昨年比で1.71ユーロ(約266円)値上がりしたうえ、11月前半で12.26ユーロ(1912)だったものが、後半に買うとさらに1ユーロ(約156円)値上がりして13.30ユーロ(約2,074円)になっていました。
シャンパンはクレマンで、フォアグラはパテに
調査を行った市場調査会社ニールセンIQ社のインフレ担当者によると、あまりの価格高騰でフォアグラやシャンパンといった高額商品は買い控えで売れ行きが悪く、手頃な価格の発泡ワイン、クレマン(crémant)やリエット(rillettes:パテに似た肉のペースト)などの手ごろな商品が売り上げを伸ばしています。
同社はまた、スーパーはクリスマス商品を集め特売コーナーを設置していますが、普通の売り場より高く売られていることもあるため、特設売り場では買わないこと、また価格については、販売価格ではなくキロあたりの価格で比較することを推奨しています。
執筆:マダム・カトウ