2025年8月1日(火)、フランス国立統計経済研究所(インセ:L’Institut National de la Statistique et des Études Économiques)の発表によると、今年4月~6月のフランスの経済成長率は0.3%で、それまでの予測0.2%を0.1%上回りました。
生産量が増加=在庫増?消費は微増
予想を上回った国内総生産(GDP)は、製造業の在庫の増加と家庭消費のわずかながらの回復に支えられています。
生産量は、+0.7%だった第一四半期に続き、第二四半期も0.5%増えています。
ただし、ある一定期間に生産量が増えたからといって、その期間に売れたとは限りません。これは航空機用のパーツや自動車製造などに見られます。
在庫の増加の原因は、需要が大幅に増えるという見通しがたっているからか、もしくは、予測に反して販売が芳しくなかったかのいずれかになります。
停滞するフランス国内消費のわずかな回復
年初3か月で0.3ポイント下がった国内消費は、4月~6月の3か月間で主に食料品消費(+1.7%)にけん引され0.1%伸びています。
この要因についてインセは、昨年は3月末だった復活祭(イースター)が4月末であったこと、4月~5月が好天に恵まれたことなどを上げています。
同じ理由でサービス消費(+0.6%)、特に宿泊、飲食業で+2.4ポイントと大きな伸びを示しています。
一方、温暖な気候で第一四半期に0.7ポイント増えた電力消費は2.4ポイント減少しています。
輸出回復も、輸入増で帳消しの貿易赤字
建設業の不振が続くなか、投資は第一四半期(-0.1%)に続き、0.1%減とマイナス成長になっています。
第二四半期も、ころころ変わるトランプ関税交渉で先行き不安が続くという環境の中、輸出は前期のマイナス1.1%から短期間でプラス0.2%プラスに転じています。
しかしながら、輸入が+0.8%の大幅増となり貿易収支はマイナス0.5%の赤字で終わっています。
輸入が大幅増となった最大の理由は、フランス国内の石油精製所数カ所が4月から6月にかけて閉鎖していたことが原因です。そのため第二四半期の清製油の輸入は11%増加しています。
今年のフランス経済成長予想0.6%、インフレ一服も国内消費は伸びず
今年1年間の見通しについて、インセはわずか0.6%の成長を予測しています。
これは2024年の1%及び、フランス政府が発表した見通し(+0.7%)をさらに下回るものとなっています。一因として、インフレが一服したにもかかわらず、国内消費の伸びが0.7%と鈍いことが挙げられます。
執筆:マダム・カトウ