６月３日（金）、フランスのお金持ちはどこに住んでいるのか？富裕層の上位10％はパリ、およびパリ郊外、イル＝ド＝フランス地域圏（Île-de-France）に住んでいます。フランスの不平等をウォッチする非営利団体「オプセルバトワール・デ・ジネガリテ」（Observatoire des inégalités）がインセの数字を元に分析した結果を公表しました。
フランスの富裕層とは？
オプセルバトワール・デ・ジネガリテは今年の「富裕層」の定義として、税引後の月収が一人当たり3,673ユーロ（約507,000円/１ユーロ＝約138円）以上である事としました。
フランスでこの層に入るのは人口のわずか7.1％にすぎず、人数にして約450万人になります。
フランスのテレビ局BFMTVが「お金持ちの収入はどのぐらいですか？」と街頭インタビューしたところ、「お金持ち」の概念が人によりまちまちだということがわかります。
通りがかりにインタビューされた50代の女性は「月収１万ユーロ（約138万円）以上」、40歳前後の男性は「5000ユーロ（約69万円）ぐらいの人」、また別の女性は「3000ユーロ（約41万円）から4000ユーロ（約55万円）」と答えています。
さらに「月収3,673ユーロはお金持ちですか？」との質問には「自分の自由になるお金があっていいと思うが、お金持ちとは言えない」「生活に余裕があるが、富裕層とは言えない」といった答えが返ってきています。
富裕層が最も多いのは、パリ７区
富裕層上位10％のうちの多くは、パリとパリ西部の郊外、イル＝ド＝フランス地域圏に属するオ＝ドゥ＝セーヌ県（Hauts-de-Seine）に住んでいます。
これを上位１％、つまり税引後一人あたりの月収が7180ユーロ（約99万円）以上に限定すると、この層の43％がパリ及びイル＝ド＝フランス地域圏に住んでおり、上位1000人に限るとその割合は54％に上ります。
ちなみにこの地域のフランス全人口における割合は19％にすぎず、富裕層がいかに地理的に集中しているかがわかります。
さらに、富裕層の上位１％、つまりフランスで最も収入が多い人たちの21％はパリに住んでいます。これは人口の３％にあたり、人数にして216万人になります。
フランスで最も富裕層の多い街、上位20人のうち19人がパリと近郊に集中
富裕層上位10％の住んでいる地域をさらに細かく、人口２万人以上の市や区ごとに分け、そこに住む対象者の平均年収ランキングを見ると、パリ左岸、エッフェル塔があることで観光客にも馴染みのある７区が１位となっています。
この地区の富裕層の平均年収は、なんと手取りで137,020ユーロ（約1890万円）、月額にして11418ユーロ（約157万円）になります。
以下、人口2万人の自治体における、富裕層上位10％の平均年収ランキングトップ10：
※（カッコ）内は、その地域の目安になるモニュメントなど。
１位 パリ７区（エッフェル塔、アンヴァリッド、国会議事堂など）137,020ユーロ（約1890万円）
２位 パリ８区（シャンゼリゼ大通り、マドレーヌ寺院など）125,030ユーロ（約1725万円）
３位 ヌイー＝シュール＝セーヌ（Neuilly-sur-Seine）市 （パリ西部、オー＝ドゥ＝セーヌ県）122,390ユーロ（約1689万円）
４位 パリ６区（サンジェルマン大通り、ルクサンブール公園など）118,890ユーロ（約1640万円）
５位 パリ16区（トロカデロ広場、ロンシャン競馬場）114,940ユーロ（約1586万円）
６位 パリ９区（オペラ座以北、モンマルトルの手前あたりまで）84,470ユーロ（約1165万円）
７位 パリ３区（マレ地区北部）83,750ユーロ（約1155万円）
８位 パリ２区（パリ証券取引所）83,070ユーロ（約1146万円）
９位 パリ17区（モンソー公園北西）82,620ユーロ（約1140万円）
10位 サンクルー市（Saint-Cloud）（パリ西部、オー＝ドゥ＝セーヌ県）82,450ユーロ（約1138万円）
ちなみに20位に唯一食い込んだ唯一の地方都市はリヨンの６区で、この区の富裕層上位10％の平均年収は66 260ユーロ（約914万円）となります。
フランスで最もお金持ちが多い、パリの場所とは？
さらに地域を狭めると、フランスで最も富裕層の平均年収が高い場所は、パリ７区のエッフェル塔とアンヴァリッドの間の三角地帯で、グロ・カイユー６（Gros Caillou 6）と呼ばれている地区です。
この地区の富裕層上位10％の平均年収は一人あたり実に264490ユーロ、日本円にして3650万円にも上ります。
エッフェル塔が窓から見えるアパート、「一体どんな人が住んでいるんだろう？」と思ったことがある方も少なくないと思いますが、答えはやはり「フランスで最もお金持ちの人たち」でした。
執筆：マダム・カトウ
