パリジャン・パリジェンヌとは何者なのか?

2025.02.25

2025年2月25日(火)、パリジャン、パリジェンヌと呼ばれるパリ市民、そもそもどんな人たちが住んでいるのか?フランス国立統計経済研究所(L’Institut National de la Statistique et des Études Économiques :インセ) が数字を発表し、パリに住む2,146,000人の出身地や実態が明らかになっています。

 

パリ生まれ、生粋のパリジャンはどのぐらい住んでいるのか?

パリで会った人に出身地を聞いても「パリ生まれです」と言われることはほとんどありません。インセの統計によるとどうもパリ生まれ、つまり生粋のパリジャンはじりじりと減少しているようです。

パリの人口のうち、パリで生まれた人の割合はわずか30%(1968年に35%だった)、これはフランス国内主要都市平均で最も低い数値です。

これは人口における地元出身者の割合が最も多い、ドイツとの国境にあるバ=ラン(Bas-Rhin)県の77%と比べると、半分以下にとどまります。

しかもパリ生まれの人のうち、パリに住んでいるのはわずか21%に過ぎないのです。

どこからきた?パリジャン

パリに住む約3人に1人はフランスの地方出身者(29%)で、4人に1人は外国生まれ(25%)です。また7人に1人はイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)と呼ばれるパリ郊外県の出身者(16%)です。

地方出身者の出身地で最も多いのは、オーヴェルニュ=ローヌ=アルプ地方(Auvergne-Rhône-Alpes)、次いでヌーヴェル=アキテーヌ地方(Nouvelle-Aquitaine)そして グラン・エスト(Grand Est)地方です。

 

パリの外国人

フランスに住む外国生まれの人のうち、6.2%がパリに住んでいます。パリの人口がフランス総人口の3.2%であることを考えると外国人の間でのパリ人気の高さがうかがえます。

パリに住む外国生まれの人のうち、26%はEU加盟国出身者ですが、パリへの集中度は低く、全体の5.4%で、これは全出身国平均を下回っています。

EU出身者のうち比較的パリに住んでいる割合が高いのは、ポーランド(在仏ポーランド人全体の8.2%)、セルビア、イタリア、UK、ドイツと続きます。フランス在住者が多いポルトガルとスペインですが、パリへの集中度は低く、それぞれ3.9%と4.9%となっています。

パリ在住外国人が最も多い出身地はマグレブ(”Maghreb”)と呼ばれる北アフリカ三国(アルジェリア、モロッコ、チュニジア)で、この3か国だけで約15万人がパリに住んでいます。

一方アフリカで最も多い出身国、セネガル、コート=ジヴォワール、マリ三国生まれの人は7%ですが、フランスに住むこの三国出身者全体の10%近くがパリ在住と、パリに集中しています。

アジア人、日本人もパリに集中

パリジャン、パリジェンヌの4人に1人はアジア出身者で、パリに住む外国人全体の約20%を占めており、フランス全土に住むアジア人全体の9.3%がパリ在住者です。

北米、南米、中米のアメリカ大陸出身者もパリに集中しており、彼らの10.6%がパリに住んでいます。

インセの分析によると、出身国が遠いほどパリへの集中度が高いという結果がでています。

パリへの集中度別でみると、最も高いには日本出身者の32%、次いでフィリピン29%、アメリカ24%、そして中国の19%となっています。

ちなみに、外国生まれのパリ市民のうち、出生時にフランス国籍だった人の割合は19%、30%はのちにフランス国籍を取得し、残りの51%は外国籍です。

 

「若い」パリ、高齢者には住みにくい?

パリ生まれで現在もパリに住んでいる人の58%は30歳未満です。

理由は、学業を終えるなど、30歳を過ぎると地方に移住する人が増えるためです。特にこの傾向はカップル、夫婦2人といったパートナーがいる人ほど強まります。

一方で、地方出身者のうち30歳未満の割合は30%と、パリ生まれの人と比べかなり低くなっています。これは、地方出身者の多くが就職などをきっかけに、大人になってからパリに住み始めるからだと言えます。

パリ在住者、年齢別にみると

パリ生まれの人のうち60%歳以上の人はわずか17%しかいません。これはリタイア後にパリを離れる人が多いためです。

パリ出身者の多くは30歳~59歳の間に、仕事や家庭の事情、特に子供がうまれて広いアパートが必要になるなどの理由で、パリの郊外へ引っ越します。

さらに、60歳以上の約54%の人は、暮らしやすさを求めてフランスの地方や海外県に移住しています。

 

パリ在住者の仕事、生活レベル

パリに住む15歳以上の人をカテゴリー別にみると、65%が働いており、19%が年金で生活しています。また、10%が学童か学生で、残りの6%は失業中など、特に何もしていない人です。

パリ市民の約33%が持ち家に住んでいますが、車を所有している世帯はわずか3分の一にとどまります。

パリで働く人の47%は高学歴の「知的労働者」で管理職についており、平社員の17%を大きく上回っています。一方で、「職人」はわずか6.5%にすぎません。

出身地別にみると、フランス地方出身者の管理職率は56%と最も高く、パリ出身者45%、外国生まれ33%を大きく上回っています。

また、外国生まれの人がパリで管理職に就く割合は、フランスの他の地方の2倍となっており、仕事はパリに集中していることがわかります。

何区にすんでいる?

パリ20区のうち、人口が一番少ないのはパリ中心部1区(ルーブル美術館などがあるエリア)の15,919人、最も多いのは左岸の15区(エッフェル塔が近く、モンパルナス駅などがあるエリア)の189,805人となっています。

執筆:マダム・カトウ

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