ルーブル美術館からみた聖火(8月8日、筆者撮影)
2024年8月9日(金)、パリ五輪の日程も残すところあと2日。明日10日に男子、11日に女子マラソンが開催されます。開会式からサプライズにあふれたパリ大会ですが、女子マラソンが最終種目なのも五輪史上初です。また、10日夜、五輪選手が走った同じコースで「みんなのマラソン」と題した市民マラソンが開催されます。
そして11日の閉会式に、俳優のトム・クルーズさんが参加すると発表され、メディアで話題になっています。
女子マラソン、開催40周年でようやくオリンピックのフィナーレに
第一回アテネ大会から120年間、五輪は最終日に行われる男子マラソンで締めくくられていました。
メダリストも輩出している日本では馴染みが深い女子マラソンですが、実はオリンピック種目になったのは、1984年のロサンゼルス五輪からです。
それから40年がたった今年、オリンピック史上初めて女子マラソンが最終種目に選ばれました。
マラソンルートはエッフェル塔にベルサイユ宮殿、歴史的観光名所を通過
朝8時、パリ市庁舎前(Hôtel de Ville de Paris)をスタートし、パリ証券取引所(Bourse)、オペラ座(Opéra Garnier)、ヴァンドーム広場(place Vendôme)、ルーブル美術館のピラミッド(pyramide du Louvre)、チュイルリー公園(Jardins des Tuileries)、コンコルド広場(Place de la Concorde)、グランパレ(Grand Palais)、を通過します。
セーヌ河右岸を走りパリを離れると、パリ郊外ブーローニュ=ビヤンクール(Boulogne-Billancourt)市、セーブル焼きで知られるセーヴル(Sèvres)市などを経て、パリ南西部にある折り返し地点、ベルサイユ宮殿(Château de Versailles)へと向かいます。
復路は、ムドン(Meudon)、イシー=レ=ムリノー( Issy-les-Moulineaux)市などを通過し、パリの左岸、ロダン美術館(musée Rodin)エッフェル塔(Tour Eiffel)を通過、フィニッシュはアンヴァリッド(Esplanade des Invalides)です。
10日(土)午前8時(フランス時間):男子マラソン
11日(日)午前8時(フランス時間):女子マラソン
「パリ-ベルサイユ」がコースに選ばれたワケ、フランス革命と女性たち
「パリからベルサイユ宮殿を目指して走る」というのは確かに魅力的ですが、それだけの理由でこのコースが選ばれたわけではありません。
フランス革命が起こった1789年、干ばつで飢饉が続いていましたが、パンの値段が最も高くなった10月5日、フランス王に陳情するため、数千人の女性たちがパリからベルサイユ宮殿まで行進(Marche des femmes)しました。彼女たちは、雨の中、ドロドロになった土の上を、子供の手をひきながら6時間かけて歩きました。
今大会のマラソンコースは、この勇敢な女性たちへのオマージュでもあります。
一般ランナーによる五輪「みんなのマラソン」、2万人が選手と同じルート
10日、21時(フランス時間)より、五輪選手と全く同じコースでアマチュアためのマラソンが開催されます。
五輪選手と同じ42kmのフルマラソンのほか、最後の10kmのみのコース(23時スタート)も用意されています。参加者の平均年齢は38歳、最高年齢は83歳です。参加は事前登録制で登録は終了しています。
夢のマラソンコースに「勾配」の落とし穴
このユニークなマラソンに参加する20,024人のランナーは、観光名所をエンジョイしながら?走るわけですが、実はこのコース、かなりきついものになっています。
特に15キロから32キロの間には438メートルの標高差があり、完走するにはこれを克服しなければなりません。
市中開催、パリのど真ん中に浮かぶ聖火、市民のための五輪を目指したパリ大会、最後に本来のオリンピック精神であるアマチュアによるマラソンで締めくくられます。
閉会式に俳優トム・クルーズが登場、次回ロサンゼルス大会のアピール
閉会式はスタジアム、パリの北にあるスタッド・ドゥ・フランス(Stade de France)で開催されます。
開会式の演出で大成功を収めたトマ・ジョリー(Thomas Jolly)は、直前まで閉会式の内容についても秘密にしていましたが、パリ消防隊の演技、数百人のダンサー、空から降りてくるSFのような演出、ヴィジュアルとサウンドに力をいれた素晴らしいものになると語っています。
ロサンゼルス大会への引継ぎ後、12分間のショーが行われ、このショーに歌手ビヨンセも登場するとか。お楽しみに!
執筆:マダム・カトウ