2024年11月8日(金)、トランプ圧勝で終わった米大統領選挙。アメリカに帰化したフランス人もトランプ支持派とハリス支持の真っ二つに分かれました。フランスのメディアが2人のフランス人を取材しています。
ハリスが掲げた、肌の色や性別に関係なく移民を受け入れる懐の深さ
レティシア(Laetitia)さんとジュリアン(Julien)さんは2人ともコロラド州に住むアメリカに帰化したフランス人で、今回の米大統領選ではじめて投票したという共通点があります。
デンバー南部に住むレティシアさんは、モバイルアプリの企画を仕事にする2児の母、米共和党は基本的人権を無視していると、ハリスへの投票は「当然の選択だった」と述べています。
自らも女性であることから、女性の権利と子供たちの将来の選択の自由を守ることを重視しました。
アメリカ国籍を取得してわずか1年あまり、アメリカの民主主義のオープンさに感心する彼女は、移民であっても「肌の色の違いや英語を話すときの訛り、性的嗜好に関係なくだれもが成功するチャンスがあること、これがアメリカンドリームだ」と断言します。
自らも移民としてアメリカに受け入れられていると感じる35歳のレティシアさんは、今回の大統領選で投票できたことを誇りに思っています。現在まで約10年間この地に住んでいますが、この国の将来を決める選挙で意思表示できることは非常に感慨深いと話しています。
トランプ支持者、成功するもしないも、すべて自分次第のアメリカンドリーム
デンバー北部で起業し、パン屋のチェーンを経営するジュリアンさんは、アメリカという国の最大の価値は、「個人が自由で、責任は自分で取ること」だと言います。つまり、開拓時代から自分の力で成功し、失敗しても責任は自分にある、そこに政府は介入しないという思想です。
ジュリアンさんは今回の選挙で「小さな政府」がポリシーである共和党を支持し、トランプは共和党の候補だったから投票したと言います。
経済さえ良ければ、国はうまくいく?
彼は自分を含め、経済的に成功する機会を人々に与えれば、社会はおのずと良くなると信じています。
ジュリアンさんにとっては、「自分の力で成功する、つまり(政府の規制や介入なく)自由であること、これがアメリカンドリーム」なのです。
トランプが掲げるMAGA(Make America Great Again)「アメリカ第一主義」は、国として経済的に独立することで繁栄すると解釈し、ジュリアンさんは「経済が良ければ、紛争や戦争が減り、国が発展する」と信じています。
トランプの移民排除、自らも移民だが・・・
レティシアさんは、自らも移民である自分が「移民排除に賛同することはあり得ない」と述べています。しかも紛争や戦争にあえぐ国の人々が、より良い安住の地を求めることは当然だと考えます。
一方、ジュリアンさんはトランプ政権で移民への風当たりが強くなるのは承知のうえで、共和党は「コントロールを強化するだけだ」と口を濁しています。
環境か経済か?で意見真っ二つ
レティシアさんは気候変動への対策が急務である中、トランプ政権の今後4年間で、アメリカが環境問題に後ろ向きになり、子供の将来を心配しています。
とにかく経済優先
一方、ジュリアンさんは、政治家や活動家がエコロジーと騒いでいるのは偽善で、それよりもテクノロジーをより進化させることで環境問題に取り込み、同時に経済も発展させることが重要だと述べ、どちらが優先かの質問には「環境が優先だとは思わない」と答えています。
執筆:マダム・カトウ