フランス人はお酒の飲みすぎか 5人に一人が適量超え

2023.06.14

フランス人は飲みすぎか

2023年6月13日(火)、フランス人の一部はアルコールの摂取量が適量を超えている、とフランス公共衛生局(Santé publique France)が警鐘を鳴らしています。同局によると5人に一人が飲み過ぎのようです。

 

コロナ禍2020年から21年の過剰飲酒、対前年-1.7ポイントの大幅減

コロナ禍でロックダウンや外出制限を繰り返した2020年から21年にかけて、「健康に害をもたらすリスクなし」とされる量を超えて飲酒をする人の割合が、飲酒者全体の23.7%から22%に激減した、とフランス公共衛生局は発表しています。

1週間10杯以内が適量

公共衛生局は2017年に健康に害のない「目安」を発表し、国民に飲酒量を減らすキャンペーンを開始しました。

それによると、1週間グラス10杯、1日2杯までがリスクのない「適量」で、さらに週に数日はアルコールを摂取しない「休肝日」を設けることを推奨しています。

しかしながら、2017年から2020年まではフランス国民のアルコール摂取量は減っておらず、2021年に初めて全体量が減少しました。

もっとも2021年はまだコロナ禍の影響が強く残っていたことから、今後公表される2022年以降の数字が上昇に転じる可能性も秘めています。

男性や高学歴の女性の飲酒が減少

2021年の減少をカテゴリー別に見ると、まず大きく減ったのは「男性」で、「若者」「高齢者」と続きます。

また、「高学歴もしくは高収入の女性」も減少に転じています。

減少の理由としてやはりコロナ禍の影響は顕著で、パーティやお祝い事など家族や友人との集いやイベントがなく、そのため特に若者の間で「飲酒の機会自体が減った」ことが挙げられます。

高齢者に関しては「コロナ感染を危惧」して酒量を減らしたことが大きい、と公共衛生局は見ています。

フランスにおける死因、アルコールはタバコの次、地域により格差

アルコールによる死亡率が全国平均より高いのは、ブルターニュ(Bretagne)地方、ロワール地方(Pays-de-la-Loire)、およびオーヴェルニュ=ローヌ=アルプ(Auvergne-Rhône-Alpes)地方です。

一方、全国平均より低いのはパリを含むイル=ド=フランス地域圏(Île-de-France)、ブルゴーニュ=フランシュ=コンテ(Bourgogne-Franche-Comté)地方、およびフランス海外県になります。

 

フランスのアルコール人口4,280万人、世界でも上位

フランスにおいて、アルコールはガン、 心血管循環器系、消化器系および精神系の約60の病気の直接的もしくは間接的な要因とみなされています。

また入院の第一の理由はアルコールで、死因ではタバコに次いでもっとも多くなっています。

アルコールは「百害あって一利なし」と言われるように、飲酒による個人的な満足感やアルコール消費でもたらされる企業の利益も、アルコールがもたらす犠牲者、人体への害や治療にかかる膨大な費用でかき消されてしまいます。

フランスでは毎年約49,000人がアルコールによる原因で死亡し、その社会的損失は1,180億ユーロ(約17兆7,846億円/1ユーロ=約150.70円)と推定されています。

執筆:マダム・カトウ

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